1 非訟事件手続法19条1項所定の非訟事件の裁判を取り消す裁判に対しては,即時抗告をすることはできず,通常抗告をすることができる。 2 過料の確定裁判の存在を看過して同一事由について非訟事件手続法208条ノ2に規定する過料の裁判をした場合には,同裁判を行った裁判所は,職権により確定後の同裁判を取り消すことができる。
1 非訟事件手続法19条1項所定の非訟事件の裁判を取り消す裁判に対する抗告 2 同一事由について重複して非訟事件手続法208条ノ2に規定する過料の裁判を行った裁判所による確定後の同裁判の職権による取消しの許否
非訟事件手続法19条,非訟事件手続法20条1項,非訟事件手続法207条3項,非訟事件手続法208条ノ2
判旨
非訟事件の裁判が確定した後であっても、裁判当時に存在した事情が判明し、当該裁判の維持が著しく正義に反することが明らかな場合には、裁判所は職権でこれを取り消しまたは変更できる。また、法19条1項に基づく取消決定は過料の裁判そのものではないため、即時抗告の規定がない限り通常抗告によるべきである。
問題の所在(論点)
1. 非訟事件の裁判の取消決定(法19条1項)に対する不服申立ての方法(通常抗告か即時抗告か)。 2. 非訟事件の裁判が確定した後に、裁判所が職権でこれを取り消すことができるか。
規範
1. 非訟事件の裁判を取り消す裁判(旧非訟事件手続法19条1項)について、法に即時抗告の定めがない以上、これに対する不服申立ては通常抗告によるべきである。 2. 非訟事件の裁判が確定した後は、原則として同条1項による取消し・変更はできない。しかし、非訟事件の裁判は民事上の後見的作用を行うという本質に照らし、①裁判当時に存在し、裁判所に認識されていれば当該裁判がされなかったであろう事情の存在が確定後に判明し、かつ、②当該裁判が不当であってこれを維持することが著しく正義に反することが明らかな場合には、職権によりこれを取り消し、または変更することができる。
事件番号: 平成17(ク)626 / 裁判年月日: 平成17年11月18日 / 結論: 却下
訴訟の当事者は,民訴法209条1項に規定する過料の裁判を求める申立権を有しない。
重要事実
D社の代表取締役である相手方は、役員の選任手続を怠ったとして広島地裁から過料6万円に処された(第1裁判)。その後、同地裁は第1裁判の存在を看過し、同一の事由に基づき再び相手方を過料6万円に処した(第2裁判)。両裁判は確定したが、広島地裁は、同一事由による確定裁判が既に存在することを理由に、職権で第2裁判を取り消す決定(原々決定)をした。検察官はこれに対し、通常抗告の期間内に抗告したが、原審は「過料の裁判」に対する不服申立ては即時抗告によるべきであり期間徒過であるとして却下したため、検察官が抗告した。
あてはめ
1. 原々決定は法19条1項に基づく取消決定であり、法207条3項の「過料の裁判」そのものではない。即時抗告の明文規定がない以上、通常抗告が認められるべきであり、検察官の抗告は適法である。 2. 本件では、第2裁判の当時すでに同一事由による第1裁判が確定していた。この事実は、裁判所が認識していれば第2裁判を行わなかったであろう事情であり、二重に過料を課す第2裁判を維持することは著しく正義に反することが明らかである。したがって、確定後であっても職権でこれを取り消すことができる要件を満たしている。
結論
原決定を破棄する。確定した非訟事件の裁判であっても、維持が著しく正義に反する場合には職権取消しが可能であり、原々決定は妥当であるため、抗告を棄却する。
実務上の射程
非訟事件(過料、会社更生、家事事件等)全般における裁判の既判力や拘束力の限界を示す重要判例。一度確定した裁判でも、二重処罰のような重大な瑕疵がある場合に職権による是正(自壊作用)を認める例外的な救済枠組みとして機能する。答案上は「非訟事件の合目的的な裁量」や「後見的役割」を根拠に、19条1項の解釈として提示する。
事件番号: 平成19(行フ)6 / 裁判年月日: 平成20年3月6日 / 結論: 棄却
商品の原産国について不当な表示を行った者が,公正取引委員会から,一般消費者の誤認を排除するための措置として,上記表示が事実と異なるものであり,一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示すること等を命じる旨の審決を受けたにもかかわらず,その履行をけ怠していた場合において,上記の者が同審決を受ける約2年半前に上記表示…
事件番号: 平成20(許)21 / 裁判年月日: 平成20年7月18日 / 結論: 破棄自判
地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起され,被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合において,同申立てを却下する旨の判断は,民訴法16条2項の規定の趣旨にかんがみ,広く当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における審理及び裁判が相当であるかどうかという観点からされるべきであり,地方裁判…
事件番号: 昭和26(ク)165 / 裁判年月日: 昭和26年9月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告申立ては、憲法違反を理由とする場合(旧民訴法419条の2)に限定され、単なる法令違反を理由とすることは認められない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告理由は、原決定において憲法適合性に関する判断が不当であると主張するものではなく、実質的…
事件番号: 平成11(許)36 / 裁判年月日: 平成12年12月14日 / 結論: 却下
文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益を有しない。