上告理由として控訴審における準備書面を援用した上告は不適法である。
上告理由として準備書面を援用することの可否
民訴法398条2項,民訴法399条1項,民訴法399条の3
判旨
上告理由の記載において、原審で提出した準備書面を引用・援用する手法は、適法な上告理由の記載とは認められず、上告は不適法として却下される。
問題の所在(論点)
上告理由の記載において、原審で提出した準備書面を援用する手法が、民事訴訟法上の適法な上告理由の記載として認められるか。
規範
上告状または上告理由書には、具体的かつ明確に上告の理由を記載しなければならない。過去の判例法理に照らし、上告理由として下級審における準備書面等の書面を引用または援用することは許されず、適法な上告理由の提示とは認められない。
重要事実
上告人代理人は、本件上告理由の記載にあたり、原審(控訴審)において昭和51年2月3日付で提出した控訴人らの準備書面の内容をすべて援用する旨を記載した。自ら具体的な理由を構成することなく、先行する訴訟手続の書面を引用することで上告理由の提示に代えようとしたものである。
あてはめ
上告人は原審の準備書面を「すべて援用する」と述べるに留まっている。しかし、上告審は憲法違反や重大な手続違背等を審査する法律審であり、原審での主張を単に引き継ぐだけでは、上告理由の特定として不十分である。判例(最大判昭28・11・11等)が示す通り、このような引用形式による上告理由の提示は不適法といわざるを得ない。
結論
本件上告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
司法試験の民事訴訟法において直接問われる可能性は低いが、上告適格や上告理由の特定という文脈での基礎知識となる。答案作成上の教訓としては、書面作成において「別紙参照」や「前書面を引用する」といった形式が、厳格な手続においては認められないリスクがあることを示唆している。
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