判旨
上告理由が、原審で主張・認定されていない事実を前提とするものや、単なる事実認定の非難にとどまる場合は、特例法上の適法な上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
原審で主張・認定されていない新事実や、原審の事実認定に反する前提に基づき、憲法違反や法令違反を主張することが、最高裁に対する適法な上告理由となるか。
規範
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律(昭和25年法律138号)1号ないし3号に該当するか、または法令の解釈に関する重要な主張を含むものでない限り、上告は認められない。特に、原審の認定に反する事実や、原審で提出・主張されていない新事実を前提として違憲・違法を主張する論旨は、前提を欠く不適法なものとして排斥される。
重要事実
上告人は、原審に提出しなかった証拠に基づく自白と異なる主張、原判決の事実認定に対する非難、および原審で認定されていない事実(賃料不払や借地権放棄など)を前提とした権利濫用や違憲・違法の主張を行い、上告を申し立てた。具体的には、原審の判示に副わない事実を想定して原審の判断を非難する内容であった。
あてはめ
上告人の主張は、原審に提出しなかった証拠による自白と異なる主張や、原判決の事実認定の非難に終始している。また、原審で主張・認定されていない賃料不払や借地権放棄といった事実を新たに持ち出し、それを前提に権利濫用や違憲・違法を説くが、これらは原審の判断枠組みを逸脱した独自の前提に基づくものである。したがって、これらの論旨はすべて前提を欠き、特例法に定める上告理由や「法令の解釈に関する重要な主張」には該当しないといえる。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため棄却される。
実務上の射程
上告審は事後審・法律審であるため、原審が認定していない新事実を前提とした主張や、単なる事実認定の誤りを主張することは原則として許されないという、上告理由の制限(審判の特例)を確認する実務上の基本例である。
事件番号: 昭和27(オ)858 / 裁判年月日: 昭和29年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、原審の判断を正当として上告を棄却し、上告理由が事実誤認や採証の違法の主張にすぎず、法令解釈に関する重要な主張を含まない場合には特例法上の審判対象とならないことを示した。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して事実誤認および採証の違法を主張して上告を申し立てた。本件は最高裁判所にお…
事件番号: 昭和27(オ)732 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告の理由が法定の事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:本件の上告人が提起した上告について、最高裁判所がその上告理由を検討したところ、当時の「最高裁判所における民事…
事件番号: 昭和27(テ)4 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
原上告判決の判断が、東京控訴院の判例に反し且つ憲法第七六条第三項に違反したものであるというだけで、原上告判決において法律等が憲法に適合するか否かについて為した判断の不当であることを理由とするものでないときは、再上告適法の理由とはならない。