原上告判決の判断が、東京控訴院の判例に反し且つ憲法第七六条第三項に違反したものであるというだけで、原上告判決において法律等が憲法に適合するか否かについて為した判断の不当であることを理由とするものでないときは、再上告適法の理由とはならない。
再上告の適否
民訴法409条ノ2
判旨
再上告の理由は、原判決における憲法判断の不当をいうものでなければならず、単に判例違反や憲法76条3項違反を主張するだけでは、民事訴訟法上の適法な再上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法409条の2(現行327条1項)に規定される再上告の理由として、「判例違反」および「憲法76条3項違反」の主張が認められるか。
規範
民事訴訟法(昭和23年改正後409条の2、現行327条1項)に基づく再上告が認められるためには、原上告判決において法律等が憲法に適合するか否かについて為した判断が不当であることを理由としなければならない。単なる判例違反の主張や憲法76条3項違反の主張は、憲法判断の不当をいうものには当たらない。
重要事実
上告人は、原上告判決(控訴審が上告審として行った判決)の判断が、東京控訴院の判例に反し、かつ憲法76条3項(裁判官の職権行使と憲法・法律による拘束)に違反するものであると主張して、再上告を申し立てた。
事件番号: 昭和26(オ)453 / 裁判年月日: 昭和27年4月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」所定の事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対し、民事上告審判特例法1号ないし3号に該当する事由、および法令の解釈に関する重要な主張が含まれると…
あてはめ
本件上告人が主張する「東京控訴院の判例に反する」という点、および「憲法76条3項に違反する」という点は、いずれも原判決が法律等の憲法適合性について下した判断そのものの不当性を指摘するものではない。再上告は、原判決における具体的な憲法判断の誤りを問う制度であるため、本件の主張は同条が予定する適法な再上告理由に該当しない。
結論
本件再上告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
最高裁判所を上告審とする判決(民事訴訟法327条1項の「上告審としてした終局判決」)に対しては、憲法解釈の誤りがあることその他憲法違反がある場合に限り、再上告が可能となる。本判決は、単なる法令違背や過去の判例との抵触を憲法違反にすり替えて主張しても、再上告理由としては認められないことを明確にしている。
事件番号: 昭和28(テ)10 / 裁判年月日: 昭和29年2月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において、単なる事実認定の非難や訴訟法違反の主張は、憲法違反をいうものであっても適法な上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、第二審判決に対して特別上告を提起した。上告理由は憲法違反を主張するものであったが、その実質的な内容は、一方が第二審の事実認定を非難するものであり、他方が…
事件番号: 昭和26(オ)644 / 裁判年月日: 昭和27年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地権の譲受や使用貸借契約の成立といった事実認定の不当を憲法違反として主張することは、実質的に事実認定を争うものにすぎず、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、本件宅地の借地権を被上告人から譲り受けた事実、または被上告人から建物所有目的で期間の定めなく無償で使用することを許諾さ…