認知者の意思に基づかない届出による認知は、認知者と被認知者との間に親子関係があるときであつても、無効である。
親子関係が存在する場合に認知者の意思に基づかないでされた届出による認知の効力
民法779条,民法781条
判旨
認知者の意思に基づかない届出による認知は、認知者と被認知者との間に真実の親子関係がある場合であっても無効である。
問題の所在(論点)
認知者と被認知者との間に真実の親子関係が存在する場合であっても、認知者の意思に基づかない認知届は無効となるか(民法779条、781条1項)。
規範
認知の効力が発生するためには、単に認知者と被認知者との間に客観的な血縁関係(真実の親子関係)が存在するだけでは足りず、認知者本人の認知の意思に基づいた届出がなされることを要する。
重要事実
本件では、認知の届出がなされたものの、その届出は認知者本人の意思に基づかないものであった。なお、認知者と被認知者との間には客観的な親子関係が存在していた。この状況下で、当該認知届が有効かどうかが争われた。
あてはめ
事件番号: 平成23(受)1561 / 裁判年月日: 平成26年1月14日 / 結論: 棄却
認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができ,この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならない。 (補足意見,意見及び反対意見がある。)
認知は身分法上の行為であり、認知者の確定的意思を尊重すべき性質を有している。本件においては、客観的な親子関係があるとしても、認知者の意思に基づかない届出がなされた以上、身分行為としての成立要件を欠く。したがって、意思を欠いた届出による認知は無効と評価される。
結論
認知者の意思に基づかない届出による認知は、真実の親子関係があるときであっても無効である。
実務上の射程
身分法における「意思主義」の重要性を説く判例であり、実務上、死後認知や強制認知以外の任意認知については、届出時の意思の存否が絶対的な要件となる。真実の親子関係があれば瑕疵が治癒されるという理屈は通用しない点に注意が必要である。
事件番号: 昭和52(オ)1335 / 裁判年月日: 昭和53年4月14日 / 結論: 棄却
認知者が被認知者を不憫に思い、自分の子として認知の届出をし、長年自分の家業を手伝わせていたところ、認知者の実子が事実上の婿養子と結婚したころから被認知者と認知者、その妻、実子との間が円満さを欠くようになり、認知者の死亡直後、被認知者が家庭裁判所に対し、遺産分割の調停の申立をしたなどの判示の事実関係のもとでは、認知者の妻…