農地の小作農であると主張する者は、当該土地が非農地であるとして知事の許可なくして他に譲渡された場合、譲渡の両当事者を相手方として、当該土地の所有権が譲渡人に属することの確認を求める法律上の利益を有しない。
非農地であることを前提として無許可で譲渡された土地の小作農であると主張する者と当該土地の所有権が譲渡人に属することの確認の利益の有無
農地法3条2項1号
判旨
第三者の所有権確認請求において、その確認によって原告が主張する賃借権や買受優先権等の法的地位が確定されない場合には、即時確定の利益を欠く。
問題の所在(論点)
第三者間の所有権の帰属を確認することが、原告自身の権利(賃借権や買受優先権)を保護するための「確認の利益」を満たすか。
規範
確認の訴えが適法であるためには、原告の権利または法的地位に現に不安・危険が生じており、その確認判決を得ることが不安・危険を解消するために有効かつ適切であること(即時確定の利益)を要する。
重要事実
上告人らは、被上告人(町)から農地を賃借して耕作していたと主張し、町と他の被上告人(Bら)との間で締結された本件土地の交換契約が農地法上の許可を欠き無効であると主張した。その上で、本件土地の所有権が依然として町に属することの確認を求めた。上告人らの目的は、町に所有権があることを確定させることで、自身の賃借権を保全し、将来的に農地法に基づく優先的な買受権を行使することにあった。
事件番号: 昭和28(オ)1452 / 裁判年月日: 昭和29年12月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産登記には公信力が認められないため、真実の権利関係と異なる登記を信頼して取引をしたとしても、当然には権利を取得することはできない。 第1 事案の概要:上告人らは、不動産登記上の表示を信頼して取引を行ったものと推認されるが、当該登記に係る権利関係が真実のものと合致していなかった。上告人らは、民法…
あてはめ
仮に賃貸借が有効であれば、所有権がBらに移転しても上告人らは賃借権を対抗できる。また、交換契約が許可を欠き無効であれば、所有権は町に残留する。しかし、町に所有権が属することを確認したとしても、それ自体によって上告人らが主張する賃借権の存在や、農地法上の優先買受権が確定されるわけではない。したがって、所有権の帰属の確認は、上告人らが意図する法的地位の確定にとって直接的かつ有効な手段とはいえない。
結論
本件訴えは、原告の法的地位を確定させるために有効適切な手段とは認められず、確認の利益を欠くため却下されるべきである。
実務上の射程
所有権の帰属という客観的事実や他人の権利関係の確認を求める場合、それが自己の権利行使の前提条件に過ぎず、判決によって直接自己の法的地位が安定しないのであれば、確認の利益が否定されることを示す。行政法上の原告適格や、民事訴訟における確認の利益の「有効適切性」を論じる際の参考となる。
事件番号: 昭和42(オ)495 / 裁判年月日: 昭和42年11月10日 / 結論: 棄却
農地法第三条または第五条にもとづく知事の許可は、農地法の立法目的に照らして、当該農地の所有権の移転等につき、その権利の取得者が農地法上の適格性を有するか否かの点のみを判断して決定すべきであり、それ以上に、その所有権の移転等の私法上の効力やそれによる犯罪の成否等の点についてまで判断してなすべきではない、と解するのが相当で…
事件番号: 昭和40(オ)992 / 裁判年月日: 昭和41年9月29日 / 結論: その他
甲所有の山林につき国がいわゆる未墾地買収をした後、乙が甲から右山林を二重に譲り受けてその旨の所有権取得登記をした場合には、右取得登記以前に国から売渡を受けた丙が右山林の登記簿を閉鎖することなく、新たに所有権保存登記を了していたとしても、右保存登記は二重登記であつて効力がないから、結局、丙は右山林の所有権取得をもつて乙に…
事件番号: 昭和41(行ツ)4 / 裁判年月日: 昭和42年7月21日 / 結論: 棄却
地方公共団体の技術吏員は、知事から、その権限に属する事務の一部を特定して、委任をうけ、または授権された場合にかぎり、自己の名においてまたは知事を代理して、知事の権限を行使することができる。