通常共同訴訟人の一人が他の共同訴訟人に対する判決の瑕疵を主張することは上告適法の理由とならない。
通常共同訴訟人の一人が他の共同訴訟人に対する判決の瑕疵を上告理由として主張することの適否
民訴法394条,民訴法61条
判旨
通常共同訴訟において、共同訴訟人の一人が提出した主張は、他の共同訴訟人のためにも提出の効果を生ずることはなく、また、一人の判決の瑕疵を他者が主張することも認められない。
問題の所在(論点)
通常共同訴訟において、共同訴訟人の一人が提出した主張が他の共同訴訟人の主張として効力を有するか。また、他の共同訴訟人に対する判決の瑕疵を自己の上告理由とできるか。
規範
通常の共同訴訟においては、各共同訴訟人の訴訟行為は互いに独立であり(民事訴訟法39条、旧61条)、一人の共同訴訟人が提出した主張が他の共同訴訟人のために当然にその効力を生ずると解すべき根拠はない(共同訴訟人独立の原則)。
重要事実
被上告人が上告人を含む複数の被告に対して訴えを提起した通常共同訴訟において、原審は、上告人以外の共同訴訟人の主張・立証とは無関係に、上告人と被上告人の間の抵当権設定契約の有効性を判断した。これに対し上告人は、他の共同訴訟人が提出した主張や判決の瑕疵を援用して、自らに対する請求認容判決の違法を訴え、上告した。
事件番号: 昭和35(オ)881 / 裁判年月日: 昭和37年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の者に対しそれぞれ別個の登記手続を求める訴訟は、たとえ原因が同一であっても、判決の内容を合一に確定すべき固有必要的共同訴訟には当たらない。そのため、被告ごとに事実認定が異なり、各判決の内容が互いに抵触することになっても違法ではない。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、Dに対する所有権取得登記…
あてはめ
民事訴訟法上の通常共同訴訟においては共同訴訟人独立の原則が適用される。本件において、上告人に対する請求について抵当権設定契約が有効に締結されたことを認めるべき主張立証が欠けている以上、他の共同訴訟人の主張が上告人の利益に考慮されないのは法的に正当である。また、訴訟追行は各人独立して行われるべきものであるから、他者に対する判決の瑕疵は自己の上告適法の理由には当たらない。
結論
上告人の主張は採用できず、本件上告は棄却される。一人の共同訴訟人の主張の効果は他の共同訴訟人に及ばない。
実務上の射程
通常共同訴訟における証拠共通の原則(一人の提出した証拠は他の共同訴訟人との関係でも証拠資料となる)との対比で重要。本判例は「主張共通」を否定しており、弁論主義のもとでは各共同訴訟人が自ら主張を行う必要があることを明確にしている。
事件番号: 昭和41(オ)214 / 裁判年月日: 昭和42年2月23日 / 結論: 破棄差戻
通常の共有の場合、抵当権設定契約が共有者全員の同意に欠けるため、共有物自体について抵当権設定の効力を生じない場合でも、特段の事情のない限り、同意をしない共有者を除き、右抵当権設定契約をした共有者の各共有持分について抵当権を設定したものと解すべきである。
事件番号: 昭和52(オ)595 / 裁判年月日: 昭和54年4月17日 / 結論: 破棄差戻
登記が偽造文書による登記申請に基づいてされた場合に登記義務者において登記の無効を主張することができないものというためには、その登記の記載が実体的法律関係に符合し、かつ、登記義務者においてその登記を拒みうる特段の事情がないというだけでなく、登記権利者において当該登記申請が適法であると信ずるにつき正当の事由があることを要す…
事件番号: 昭和44(オ)1012 / 裁判年月日: 昭和45年2月24日 / 結論: 棄却
甲は、乙が代表者である丙組合と丁会社との紛争解決などのために、戊に合計九〇万円を融資し、その債務担保のため本件土地につき、戊から譲渡担保の設定を受け、一方、乙は、右のような事情から右担保権を取得した甲のために、その権利行使の障害となる根抵当権を自ら放棄したものであるなど判示事実関係のもとにおいては、乙は、その後戊との間…
事件番号: 昭和28(オ)494 / 裁判年月日: 昭和28年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張された憲法違反が、実質的に原審の訴訟手続違背や事実認定の不当をいうにすぎない場合には、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律(昭和25年法律第138号)に規定する適法な上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人が原審の判決に対し、憲法違反を理由として上告を提…