特許出願拒絶査定を不服とする審判請求と特許出願を実用新案登録出願に変更する届出とが同時になされた場合においても、特許出願は取り下げたものとみなす旨の実用新案法第八条第四項の規定の適用がある。
特許出願拒絶査定に対する審判請求と特許出願を実用新案登録出願に変更する届出とが同時になされた場合における実用新案法第八条四項の適用の有無
特許法121条,実用新案法8条
判旨
特許拒絶査定不服審判の請求と実用新案登録出願への変更が同時になされた場合、両行為は直ちに効力を生じ、出願変更の効果として元の特許出願は取り下げられたものとみなされる。
問題の所在(論点)
特許拒絶査定不服審判の請求と実用新案への出願変更が同時になされた場合、各手続の効力はどうなるか。また、特許庁側(審判長等)に補正を命じる義務があるか。
規範
特許出願に対する拒絶査定不服審判の請求と、当該出願を実用新案登録出願に変更する行為は別個の手続であり、両者を同時に行うことは禁止されていない。また、これらの行為は条件を付して発効を制限できる性質のものではなく、同時になされた場合にはそれぞれが直ちに効力を生じる。その結果、出願変更に伴う「元の特許出願の取下擬制(実用新案法8条4項)」の規定が当然に適用される。
重要事実
上告人は、特許出願に対する拒絶査定を受けた。これに対し、上告人は拒絶査定不服審判の請求を行うと同時に、当該特許出願を実用新案登録出願へと変更する手続を行った。上告人は、同時になされた場合はいずれも効力未発生の状態にあるため、特許庁側が補正を命じていずれか一方を選択させる義務がある旨を主張して争った。
事件番号: 昭和32(オ)984 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】分割出願の拒絶査定の適法性は、原出願の拒絶査定の適否とは別個に判断される。引用発明と根本的な技術思想が同一であれば、単なる材質の変更による耐久性の向上などは新規性を基礎付けず、引用例の一部が実施可能であれば、装置全体としての実施可能性を審理せずとも新規性を否定できる。 第1 事案の概要:上告人は原…
あてはめ
拒絶査定不服審判の請求と出願変更は別個の手続であり、特許法・実用新案法上、審判請求中の出願変更は禁止されていない。本件のように両行為が同時になされた場合、いずれか一方が停止するのではなく、両者は直ちに効力を生じる。したがって、実用新案法8条4項(当時)が適用され、出願変更の効力発生に伴い、元の特許出願は当然に取り下げられたものとみなされる。また、特許法17条や133条等の規定に照らしても、特許庁側が一方を有効ならしめるために補正を命ずべき義務は認められない。
結論
本件の両行為は同時に有効となり、実用新案への出願変更がなされた以上、特許出願は取り下げられたものとみなされる。特許庁側に補正を命じる義務はない。
実務上の射程
手続の併存と取下擬制に関する判断。出願変更を行うと元の出願が消滅するという不可逆的な法的効果を重視しており、手続上の不備(補正対象)とは扱われない。出願戦略上のミスについて救済を認めない厳格な実務運用を支持する内容といえる。
事件番号: 昭和32(オ)986 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許の分割出願とその拒絶査定を巡る訴訟において、原願と分割願は別個の事件であり、同一の審査官や審判官が双方に関与したとしても、直ちに除斥・忌避事由等の手続的違法は認められない。また、引用発明が技術的に実施可能であると判断される限り、新規性は否定され、当該拒絶審決は適法となる。 第1 事案の概要:上…
事件番号: 昭和45(行ツ)5 / 裁判年月日: 昭和48年6月15日 / 結論: 棄却
登録実用新案の登録無効審判事件の係属中にその登録実用新案につき訂正の審判が請求された場合において、まず訂正審判事件につき審決をした後でなければ登録無効の審決をしてはならないと解すべき法律上の根拠はない。
事件番号: 昭和32(オ)985 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】分割出願の適法性は原出願の拒絶査定の適否に左右されず、公知の技術的手段を単に置換したに過ぎない発明は、特段の新規な発明思想を含まないため新規性が否定される。 第1 事案の概要:上告人は、原出願を6個に分割したうちの1つとして、家庭用編物機の機体を台板等に起伏自在に取り付ける発明につき特許出願を行っ…
事件番号: 昭和26(オ)745 / 裁判年月日: 昭和28年10月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許審決取消訴訟において、審判過程で主張されなかった事実や審決の基礎とされなかった事実を、訴訟段階で新たに主張し、裁判所がこれを判決の基礎として採用することは違法ではない。 第1 事案の概要:上告人(発明者)は、自らが発明した製粉機が当時の特許法1条にいう「新規ナル工業的発明」に該当すると主張して…