登録実用新案の登録無効審判事件の係属中にその登録実用新案につき訂正の審判が請求された場合において、まず訂正審判事件につき審決をした後でなければ登録無効の審決をしてはならないと解すべき法律上の根拠はない。
登録実用新案の訂正審判と無効審判の審理の先後関係
実用新案法37条,実用新案法39条,実用新案法条41条,特許法168条
判旨
登録無効審判の係属中に訂正審判が請求された場合、いずれの審決を先行させるかは特許庁の裁量に委ねられ、常に訂正審決を先行させる必要はない。
問題の所在(論点)
登録無効審判と訂正審判が併存する場合において、特許庁は必ず訂正審判につき先に審決をしなければならないか、また、無効審決を先行させることが訂正審判請求権の侵害にあたるか。
規範
登録無効審判事件の係属中に訂正審判が請求された場合、審決の先後関係は審判を行う特許庁の裁量に委ねられる。常に訂正審決を先行させなければならないとする法律上の根拠は存在しない。
重要事実
上告人の登録実用新案について登録無効審判が係属している最中に、上告人は当該実用新案の訂正審判を請求した。しかし、特許庁は訂正審判の審決を待たずに、先行して当該登録を無効とする審決を行った。上告人は、訂正審判を先に審理すべきであり、無効審決を先行させることは訂正審判請求権を侵害する違法なものであると主張して争った。
事件番号: 昭和43(行ツ)78 / 裁判年月日: 昭和44年2月13日 / 結論: 棄却
弁理士が、特許庁に在職中審判官として取り扱つた審判事件につき、退職後、弁理士法八条二号に違反して、右事件の審決の取消訴訟を提起した場合には、相手方が右違反行為に異議を述べているかぎり、提訴を無効と解すべきである。
あてはめ
訂正審判制度の趣旨に照らしても、無効審決を先行させることが当然に権利者の訂正審判請求権を不当に喪失させるものとはいえない。また、無効審決の取消訴訟においては、先行してなされた無効審決の適否が争点となるのであって、未だ審決のなされていない訂正請求の理由の有無まで審理する必要はない。したがって、特許庁が裁量により無効審決を先行させたとしても、手続上の違法は認められない。
結論
特許庁に審決の先後関係を決定する裁量があるため、訂正審判の結果を待たずになされた無効審決は適法である。
実務上の射程
本判決は、無効審決と訂正審判の並行審理(ダブルトラック)における特許庁の裁量を認めたものである。現在の実務・法改正下においても、無効審判と訂正の請求が併存する場合の基本的な手続的優越関係を理解する上での重要判例である。行政庁の合理的な手続進行の裁量を肯定する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和45(行ツ)32 / 裁判年月日: 昭和51年5月6日 / 結論: 棄却
一、特許の無効審判の係属中に当該特許の訂正審判の審決により無効審判の対象に変更が生じた場合には、従前行われた当事者の無効原因の存否に関する攻撃防禦について修正、補充を必要としないことが明白な格別の事情があるときを除き、審判官は、変更後の審判の対象について当事者双方に弁論の機会を与えなければならない。 二、審決に審判手続…
事件番号: 昭和41(行ツ)53 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: 棄却
特許法第一五六条第一項で所定の審理終結の通知が審決書作成の日より遅れて発せられたというだけでは、右審決取消の理由とするに足りない。
事件番号: 昭和43(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和45年10月30日 / 結論: 棄却
旧特許法施行規則(大正一〇年農商務省令第三三号)四一条は、旧特許法(同年法律第九六号)六条に違反しない。