旧特許法施行規則(大正一〇年農商務省令第三三号)四一条は、旧特許法(同年法律第九六号)六条に違反しない。
旧特許法施行規則(大正一〇年農商務省令第三三号)四一条と旧特許法(同年法律第九六号)六条
旧特許法(大正10年法律第96号)6条,旧特許法施行規則(大正10年農商務省令第33号)41条
判旨
特許(実用新案)出願前に博覧会への出品等により公知となった発明について、新規性喪失の例外規定(旧特許法6条1項)の適用を受けるために、施行規則が定める手続的要件(書類の添付等)を課すことは、法律の委任の範囲内であり有効である。
問題の所在(論点)
法律(旧特許法6条1項)が認める新規性喪失の例外について、法律に明文のない手続的義務を省令(施行規則41条)で課し、これを遵守しない場合に例外の適用を否定することが、委任立法の限界を超え違法となるか。
規範
法律が特定の要件(博覧会出品後の期間内出願等)に基づき権利の例外を認める場合、行政の大量処理の必要性や事実関係の明確化という要請に鑑み、そのための一般的・画一的な基準を省令等の手続的規定で設けることは法の趣旨に適合し、許容される。ただし、その手続規定が、実質的に法律で定められた期間等の要件を不当に制限し、法律の内容を変更するものであってはならない。
重要事実
上告人は、旧実用新案法26条により準用される旧特許法6条1項の所定期間内(博覧会開会の日より6月以内)に実用新案登録の出願を行った。しかし、上告人は同法施行規則41条が定める「博覧会の開設・出品を証する書面等の添付」という手続を怠った。上告人は、法律自体には書類添付の義務が明記されておらず、省令によって法律が認める利益を制限することはできないと主張して、手続懈怠を理由に新規性喪失の例外適用を否定した原判決を不服として上告した。
事件番号: 昭和39(行ツ)62 / 裁判年月日: 昭和43年4月4日 / 結論: 破棄差戻
特許庁が、実用新案登録無効審判において提出された公知刊行物の記載によつては旧実用新案法(大正一〇年法律第九七号)第一条の考案を構成しないものとすることはできないと判断して、請求が成り立たない旨の審決をした場合であつても、右審決の取消訴訟において、当事者は、審決の判断を受けていない新たな公知刊行物に基づいて当該実用新案を…
あてはめ
旧特許法6条1項は、博覧会出品から6月以内の出願に限り新規性を失わないとするが、その適用の有無を審査するには、個々の事案ごとに任意の立証を待つのではなく、画一的な基準で出品事実や内容を明確にする必要がある。大量処理の必要性からも手続規定の整備は不可欠である。規則41条は、出願時に書類を添付すべきとするが、博覧会開会から6月以内であれば追完も許されると解される。したがって、本規則は法律が定めた期間制限を不当に短縮するものではなく、法律の趣旨を具体化するものとして、その内容を変更するものとはいえない。上告人はこの手続を懈怠した以上、同条の利益を享受できないと解される。
結論
省令で定める手続的要件は法律の趣旨に適い有効であり、これを履践しなかった上告人は新規性喪失の例外の適用を受けることができない。上告棄却。
実務上の射程
行政法の委任立法の限界、および知的財産法における新規性喪失の例外規定の厳格な運用(手続的適法性の要求)を示す事例。法律に直接の委任規定がなくても、行政上の大量処理や事実関係の明確化という行政目的の合理性があれば、手続的規定を省令で補完することが認められる範囲を画定する際の参考となる。
事件番号: 昭和40(行ツ)47 / 裁判年月日: 昭和43年11月1日 / 結論: 棄却
東京国際見本市は、旧特許法(大正一〇年法律第九六号)第六条第一項所定の博覧会等に該当せず、同見本市への出品について、発明の新規性喪失の除外例を認めることはできない。
事件番号: 昭和34(オ)450 / 裁判年月日: 昭和34年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実用新案登録の要件として、考案が新規のものであることが必要であり、法定実施権の存在や製品の市場価値の高さは登録の可否に直接影響しない。 第1 事案の概要:上告人は、自らの出願した考案について実用新案登録を求めたが、原審において当該考案の新規性が否定された。これに対し上告人は、当該考案について法定実…
事件番号: 昭和28(オ)512 / 裁判年月日: 昭和30年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実用新案法(旧法)に基づく登録対象となるためには、考案が同法1条にいう「新規ノ型ノ工業的考案」に該当することを要し、新規性を欠く考案については登録を受けることができない。 第1 事案の概要:上告人は、自らの考案について実用新案法に基づく登録を求めた。しかし、原審において、当該考案は同法1条に規定さ…
事件番号: 昭和45(行ツ)5 / 裁判年月日: 昭和48年6月15日 / 結論: 棄却
登録実用新案の登録無効審判事件の係属中にその登録実用新案につき訂正の審判が請求された場合において、まず訂正審判事件につき審決をした後でなければ登録無効の審決をしてはならないと解すべき法律上の根拠はない。