東京国際見本市は、旧特許法(大正一〇年法律第九六号)第六条第一項所定の博覧会等に該当せず、同見本市への出品について、発明の新規性喪失の除外例を認めることはできない。
東京国際見本市への出品と発明の新規性の喪失
旧特許法(大正10年法律第96号)6条1項
判旨
旧特許法6条1項にいう「都道府県ニ準ズベキモノ」とは、朝鮮の道や台湾の州のような地方公共団体を指し、「政府ノ認可」は博覧会の開設自体に対する認可を指す。したがって、東京都等が組織する社団法人が開設する見本市は、当該法人の設立許可があるのみでは同条の博覧会に該当しない。
問題の所在(論点)
旧特許法6条1項(新規性喪失の例外)に規定される「都道府県ニ準ズベキモノノ開設スル博覧会」または「政府ノ認可ヲ得テ開設スル博覧会」に、公共的性質を有する社団法人が主催する国際見本市が該当するか。
規範
1. 旧特許法6条1項の「都道府県ニ準ズベキモノ」とは、旧特許法施行当時の外地(朝鮮、台湾等)における地方公共団体を指称する。2. 同条項の「政府ノ認可」とは、博覧会の開設自体に関する認可をいい、博覧会を主催する団体の設立許可をもってこれに代えることはできない。
重要事実
上告人は、社団法人東京国際見本市協会が開催した東京国際見本市への出品に基づき、旧特許法6条1項(新規性喪失の例外)の適用を主張した。当該協会は、東京都を主体的会員とし、日本貿易振興会等の正会員により組織される公共的団体であり、経費の大部分を東京都が負担していた。また、同協会の設立に際しては通商産業大臣の許可を得ていたが、見本市の開設そのものについて個別の政府認可を得た事実はなかった。
事件番号: 昭和43(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和45年10月30日 / 結論: 棄却
旧特許法施行規則(大正一〇年農商務省令第三三号)四一条は、旧特許法(同年法律第九六号)六条に違反しない。
あてはめ
1. 協会は東京都が主導する公共的団体であるが、当時の統治下における朝鮮の道や台湾の州のような地方公共団体そのものではないため、「都道府県ニ準ズベキモノ」には該当しない。2. 通商産業大臣による協会の「設立許可」は、団体法上の手続に過ぎない。本条が求める「政府ノ認可」は博覧会の開催という行為自体に向けられるべきものであるから、団体の存在根拠たる設立許可があることをもって、直ちに博覧会の開設について政府の認可があったとみることはできない。
結論
東京国際見本市は旧特許法6条1項の博覧会に該当せず、新規性喪失の例外規定の適用は認められない。
実務上の射程
新規性喪失の例外(現行特許法30条)に関する規定の厳格解釈を示す。特に「政府の認可」の対象が「主体の設立」ではなく「イベントの開設」にあるとする点は、現在の特定行事の指定等においても解釈の指針となり得る。
事件番号: 昭和36(オ)1180 / 裁判年月日: 昭和38年1月29日 / 結論: 棄却
外国において発刊頒布された刊行物であつても、わが国の特許庁に到達し同庁資料館に受け入れられた以上は、旧特許法四条二号にいう「国内ニ頒布セラレタル刊行物」と解するのが相当である。