商標法第二条第二項により権利を要求しない場合でも、そのことと第二条第一項五号に該当するかどうかは関係がない。
旧商標法(大正一〇年法律第九九号)第二条第二項と第二条第一項五号の関係。
旧商標法(大正10年法律99号)2条2項,旧商標法(大正10年法律99号)2条1項5号
判旨
商標登録出願に対する異議申立制度は公衆審査の観点から設けられたものであり、異議申立人の資格に制限はなく、その申立てが信義則に反するか否かは拒絶査定の当否に影響しない。
問題の所在(論点)
商標登録出願に対する異議申立てが信義誠実の法則に反する場合、その異議申立てに基づく拒絶査定は違法となるか。また、異議申立人の適格に制限はあるか。
規範
商標法における出願公告及び異議申立の制度は、広く公衆の審査を仰ぐことで登録の適正を期する「公衆審査」の趣旨に基づくものである。したがって、異議を申し立てる者の資格に制限はなく、特許庁は職権でも登録を拒絶し得る以上、異議申立てが信義誠実の法則に反するか否かという事情は、拒絶査定の適法性を左右するものではない。
重要事実
上告人は「D」なる文字を含む商標について登録出願を行ったが、訴外の有限会社Dが存在することから、旧商標法2条1項5号(他人の商号等を含む商標)に該当するとして拒絶査定を受けた。これに対し上告人は、有限会社Dによる異議申立ては信義則に反するものであり、また旧商標法2条2項(要部について権利要求しない場合の登録)の規定から、当該会社に異議権はないと主張して争った。
あてはめ
本件において、上告人は異議申立人の態度が信義則に反すると主張するが、商標法上の異議制度は公衆審査の見地から設けられた公益的制度である。特許庁は、異議申立ての有無にかかわらず、職権によって登録拒絶の事由(他人の商号との抵触等)を調査し、査定を下すべき権限と義務を有している。したがって、個別の異議申立人の主観的事由や信義則違反の有無は、客観的な登録要件の存否を判断する拒絶査定の当否には何ら関係しないといえる。
結論
異議申立てが信義則に反する場合であっても、拒絶事由が存在する以上、拒絶査定は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政手続における公益的審査(公衆審査)の性質を明らかにした判例であり、特許法や商標法における異議申立手続において、申立人の適格や信義則違反を理由に拒絶査定の効力を争うことは困難であることを示している。
事件番号: 昭和30(オ)261 / 裁判年月日: 昭和36年1月26日 / 結論: 棄却
一 公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二〇条(昭和二八年法律第二五九号による改正前)により不公正な競争方法であるかどうかを認定するにあたつては、単にその行為の外観にのみとらわれることなく、かかる行為の行われた客観的情勢をも勘案し、その行為の意図とするところをも考慮すべきである。 二 新聞社の…