実用新案登録の審決取消訴訟において、その基礎となる登録査定が将来訂正審決により変更される可能性があるとしても、上告理由となるものではない。
実用新案登録の審決取消訴訟においてその基礎となる登録査定が将来訂正審決により変更される可能性と上告理由
実用新案法41条,特許法128条,民訴法420条1項8号
判旨
請求公告の決定がされたとしても、願書に添付した明細書又は図面の訂正の効果が当然に生じるものではない。また、将来的に訂正審判の確定により再審事由が生じる可能性があるとしても、そのこと自体は直ちに判決の法令違反を構成しない。
問題の所在(論点)
実用新案登録の有効性や権利範囲に影響を及ぼす明細書等の訂正について、請求公告の決定がなされたことのみをもって訂正の効果が生じるか。また、将来の再審事由の発生可能性を理由に判決の法令違反を主張できるか。
規範
請求公告をすべき旨の決定は、あくまで手続上の過程に過ぎず、これによって実体的な明細書又は図面の訂正の効果が生じるものではない(旧特許法164条2項、165条1項、旧実用新案法41条準用)。また、将来の訂正審判確定による再審事由(民訴法338条1項8号等)の発生可能性は、現時点での判決の違法性を基礎付ける理由とはならない。
重要事実
上告人は、実用新案に関する訴訟において、請求公告の決定がなされたことを根拠に、明細書等の訂正の効果が既に生じていると主張した。また、将来的に訂正審判請求に対する審決が確定すれば再審事由が生じる可能性があることを理由に、原判決の法令違反を訴えて上告した。
あてはめ
本件において、請求公告の決定がなされた事実は認められるものの、法律の規定に照らせば、この段階で明細書等の訂正の効果が確定的に生じたと解することはできない。したがって、訂正の効果が発生したことを前提とする上告人の主張は前提を欠く。また、将来的に訂正審判が確定して再審事由が生じる余地があったとしても、それは確定後の救済手段の問題であり、現時点での原判決に法令違反があるという根拠にはなり得ない。
結論
請求公告の決定により訂正の効果が生じることはなく、将来の再審事由の可能性も現判決の違法事由とはならないため、上告を棄却する。
実務上の射程
訂正の対世的効力は審決の確定によって生じるものであり、中間的な手続である請求公告にはその効力がないことを明確にしている。審決確定前の事実認定の妥当性を争う際の限界を示す事案である。
事件番号: 昭和57(行ツ)27 / 裁判年月日: 昭和59年4月24日 / 結論: 破棄自判
一 実用新案登録に関する訂正審判の係属中に当該実用新案登録を無効にする審決が確定した場合には、訂正審判の請求は不適法となる。 二 実用新案登録に関する訂正審判の請求につき請求が成り立たない旨の審決の取消訴訟の係属中に当該実用新案登録を無効にする審決が確定した場合には、取消訴訟の訴えの利益は失われる。