道路交通取締法第一八条の二が適用された事例
判旨
交差点で右折しようとする車両は、直進する対向車両との衝突を避けるため、一時停止または徐行すべき義務を負う。右折車が無理な追い越しや合図を欠いたまま進行し衝突を招いた場合、事故は専ら右折車の過失に帰せられる。
問題の所在(論点)
交差点における右折車と直進対向車の衝突事故において、右折車側の一時停止・徐行義務の有無、および直進車側の避譲義務の存否が争点となった。
規範
交差点において右折しようとする車両は、直進する対向車両がある場合、道路交通法上の義務(当時は道路交通取締法18条の2)に基づき、一時停止または徐行することによって衝突を回避すべき注意義務を負う。対向車側は、相手車両が合図なく直進するものと信じて進行する限り、特段の事情がない限り一旦停止して回避する義務はない。
重要事実
軽二輪車を運転する上告人Aは、交差点進入時に短時間の右折合図をしたが、その際に対向車はまだ見えていなかった。その後、交差点内で右折しようとした際、対向から直進してくる自転車(被上告人)を認めた。Aは、距離や速度から見て自転車の前を横切るのが困難な状況であったにもかかわらず、加速すれば先行できると判断。合図や一時停止をせずに突如右折を開始した。一方、自転車側はAの合図を認識できず直進したため、回避の余裕なく衝突した。
あてはめ
上告人車は、対向車を認めた時点で衝突の危険が客観的に認められたのであるから、一時停止または徐行により衝突を避けるべきであった。しかるに、Aは無理な右折を強行し、かつ適切な合図も欠いていた。これに対し、自転車側はAが合図なく直進するものと信頼して進行しており、両車が直進を継続する限り衝突の危険はなかった。したがって、自転車側に一旦停止して避譲すべき義務はなく、回避の措置をとる余地もなかったといえる。
結論
本件事故は専ら上告人Aの過失によるものであり、上告人の損害賠償責任を肯定した原判決は正当である。
実務上の射程
交差点における直進車優先の原則を確認した判例。右折車側の強引な進行がある場合、直進車側の過失を否定(または極めて限定)する際の論拠となる。実務上、過失割合の検討において、右折車側の著しい過失を認定する際の基礎として機能する。
事件番号: 昭和47(オ)731 / 裁判年月日: 昭和48年4月20日 / 結論: 破棄差戻
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