原被告間に昭和二九年一二月一日離婚判決が言い渡され、同年同月二三日右判決が確定している事実があるからといつて、右確定前である同年一一月九日両者間になされた協議離婚につき、原告不知の間に被告において離婚届を偽造してなしたものであることを理由に、原告がその無効確認を求めて訴を提起することに、法律上の利益がないとはいえない。
離婚無効確認の訴について確認の利益があるとされた事例
民訴法225条,民法763条,人事訴訟手続法1条
判旨
裁判離婚の判決が確定している場合であっても、それ以前に届出がなされた協議離婚が無効であることの確認を求めることは、法律上の利益がある。
問題の所在(論点)
後行の判決離婚が確定している場合に、それ以前に偽造届出によってなされた協議離婚の無効確認を求める訴えに「法律上の利益」が認められるか。
規範
確定判決によって形成された身分関係が存在する場合であっても、それより先行する別の原因による身分関係の成否を争うことは、判決確定日と届出日が近接している等の事情にかかわらず、法律上の利益(確認の利益)を失わせるものではない。
重要事実
上告人と被上告人との間で、昭和29年12月23日に離婚判決が確定した。しかし、その確定に先立ち、上告人が被上告人に無断で離婚届を偽造して提出していた。被上告人は、この先行する協議離婚の無効確認を求めて提訴した。
あてはめ
被上告人不知の間に上告人が離婚届を偽造してなした協議離婚は、実体上の合意を欠く無効なものである。たとえその後に有効な離婚判決が確定し、現在において離婚状態にあるという事実に変わりがないとしても、無効な届出によって身分帳簿上の記載がなされたことによる不利益の解消や、離婚の効力発生時期の遡及的確定などの点において、先行する協議離婚の無効を確認することには依然として正当な利益が認められる。これは判決確定日と協議離婚届出日が近接している場合でも左右されない。
結論
先行する協議離婚の無効確認を求める訴えには法律上の利益が認められ、適法である。
実務上の射程
確認の利益の存否が争点となる人事訴訟において、過去の身分関係の無効確認が現在の地位に影響を及ぼし得る場合の一般法理として引用できる。実務上、協議離婚の無効は婚姻費用の分担や財産分与、相続権の有無に遡及的な影響を与えるため、後行の離婚判決があっても訴えの利益が否定されない点に留意すべきである。
事件番号: 昭和39(オ)847 / 裁判年月日: 昭和40年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】意思に基づかない離婚届によってなされた協議離婚は無効であり、その後に届け出られた婚姻は重婚となるため、前配偶者は当該婚姻の取消しを請求できる。 第1 事案の概要:被上告人の意思に基づかない離婚届が提出・受理され、形式上、被上告人と上告人A1との協議離婚が成立した。その後、上告人A1は上告人A2との…