協議離婚無効確認と右無効による重婚を理由とする婚姻の取消とが併せて訴求され認容された事例。
判旨
意思に基づかない離婚届によってなされた協議離婚は無効であり、その後に届け出られた婚姻は重婚となるため、前配偶者は当該婚姻の取消しを請求できる。
問題の所在(論点)
意思に基づかない離婚届による離婚の効力、および当該離婚後に執り行われた後婚が重婚として取消しの対象となるか。
規範
夫婦の一方の意思に基づかない離婚届が受理されても、当該協議離婚は無効である。離婚が無効である以上、婚姻関係は継続しており、その後に重ねてなされた婚姻は民法732条が禁止する重婚に該当し、同法744条に基づく取消しの対象となる。
重要事実
被上告人の意思に基づかない離婚届が提出・受理され、形式上、被上告人と上告人A1との協議離婚が成立した。その後、上告人A1は上告人A2との間で婚姻届を提出し、受理された。被上告人は、前者の離婚の無効確認とともに、後者の婚姻が重婚であることを理由にその取消しを求めて提訴した。上告人側は、被上告人に婚姻継続の意思がない旨を主張して争った。
あてはめ
本件では、被上告人の意思に基づかない離婚届によって協議離婚の届出がなされている。このような離婚は実質的合意を欠き無効である。離婚が無効である以上、被上告人と上告人A1との婚姻関係は法律上有効に存続しているといえる。したがって、その後に届け出られた上告人A1と上告人A2との婚姻は、法律上の配偶者がある者が重ねて婚姻をしたものであり、客観的に重婚の状態にあると評価される。被上告人に婚姻維持の意思があるか否かという主観的事情は、重婚の成立および取消請求の可否を左右しない。
結論
被上告人と上告人A1との協議離婚は無効であり、上告人両名の婚姻は重婚として取り消されるべきである。
実務上の射程
離婚の無効と重婚取消しの関係を明らかにした基本判例である。答案上は、離婚の無効(民法763条・739条準用)を前提として、後婚が重婚(732条)に該当することを指摘し、取消権者(744条)による請求を認める論理構成で使用する。
事件番号: 昭和52(オ)1339 / 裁判年月日: 昭和53年3月9日 / 結論: 棄却
当事者の意思に基づかない離婚届が受理されたことによる協議離婚は、その無効を確認する審判又は判決の確定をまつまでもなく、当然無効である。