原告が被告に対し裁判上の離婚を求める意思があるからといつて、協議離婚の無効確認を求める利益がないということはできない。
離婚無効確認の訴と確認の利益
民訴法225条,民法763条,人事訴訟手続法1条
判旨
戸籍簿上の離婚の記載が当事者の意思に基づかない無効な届出による場合、戸籍の記載を訂正するためには、離婚無効の確定判決を得る必要があり、当該訴訟の訴えの利益が認められる。
問題の所在(論点)
意思に基づかない無効な離婚届により戸籍上の記載がなされた場合において、当該離婚の無効を求める訴えに「訴えの利益」が認められるか。
規範
戸籍の記載が事実に合致しない場合であっても、届出を原因とする離婚の無効を主張して戸籍の抹消を求めるためには、相手方に対する離婚無効の確定判決を必要とする。したがって、届出が一方の意思に基づかない無効なものであるときは、訴えの利益が肯定される。
重要事実
戸籍簿上、昭和25年5月27日に当事者が協議離婚した旨の記載がなされていた。しかし、この届出は被上告人の意思に基づかないものであった。被上告人は上告人に対し、当該離婚の無効を求めて提訴したが、上告人側は訴えの利益の欠如等を主張して争った。
あてはめ
本件における離婚届は、被上告人の意思に基づかない無効なものである。被上告人は、戸籍の記載が事実に合致しないものとしてその抹消を求める権利を有するが、実務上、離婚無効の確定判決を得ることで初めてその抹消(戸籍の訂正)が可能となる。かかる手続上の必要性に鑑みれば、原告が将来的に裁判上の離婚を求める意思があるか否かにかかわらず、離婚無効を確定させることには法的利益が存すると評価される。
結論
被上告人は本件訴訟につき訴えの利益を有し、離婚無効の訴えは適法である。
実務上の射程
身分関係の公証を目的とする戸籍制度において、不実の記載を是正するためには判決という公的確認が必要であるとする考え方を示す。離婚無効のほか、認知無効や養子縁組無効など、戸籍訂正を伴う身分関係訴訟一般に射程が及ぶ。
事件番号: 昭和37(オ)203 / 裁判年月日: 昭和38年11月28日 / 結論: 棄却
妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない。
事件番号: 昭和32(オ)508 / 裁判年月日: 昭和34年8月7日 / 結論: 棄却
合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。