違法ならしめない。
訴訟物に関係のない事実を認定することは判決を違法ならしめるか。
民訴法191条
判旨
協議離婚が有効に成立するためには、届出という形式的な要件のみならず、実質的な離婚の真意が必要である。本判決は、原審が認定した離婚の真意の存在を肯定し、離婚成立後の事情が結論に影響しないことを示した。
問題の所在(論点)
協議離婚の有効性を判断するにあたり、当事者に離婚の真意があったといえるか。また、離婚成立後の事情(再婚等)の認定が判決の妥当性に影響を及ぼすか。
規範
協議離婚(民法763条)の有効要件としての「離婚の意思」は、法律上の婚姻関係を解消する意思を指す。届出がなされた場合であっても、当事者間にこの実質的な真意が欠けていれば、当該離婚は無効となる。また、事後的な事情(再婚や子の出生等)は、離婚の効力そのものを直接左右するものではない。
重要事実
上告人と被上告人の間で協議離婚の届出がなされたが、上告人は離婚の真意がなかったと主張して、離婚の無効を争った。原審は、証拠に基づき両名に離婚の真意があったと認定した。また、原審は事実認定の一部として、被上告人が離婚後に他者と結婚し、その間に長男が生まれたという事実にも言及していた。上告人は、原審の事実認定には経験則違反があり、かつ事後の結婚等の事実は離婚の有効性に関係がないとして上告した。
あてはめ
離婚の真意については、原審が挙示した証拠に照らせば、当事者間に婚姻関係を解消する意思があったとする認定は肯定できる。また、被上告人が離婚後に他者と結婚し子を設けたという事実は、協議離婚の有効・無効という訴訟物(法的判断)に直接関係するものではない。したがって、そのような事実を原審が認定したとしても、それは無用な事実を認定したにすぎず、判決を違法とする理由にはならない。
結論
当事者に離婚の真意があったとする原審の判断は正当であり、事後的な再婚等の事実認定も判決を覆す理由とはならないため、上告は棄却される。
実務上の射程
協議離婚の無効主張において、主観的な「離婚の真意」の有無が争点となる場合の判断枠組みを示す。答案上では、届出という形式だけでなく、実質的な意思の合致が必要であることを論じた上で、事実認定の問題として処理する際の論拠となる。また、後続事実が判断に影響しない(無用な認定にすぎない)とする構成は、事実認定の違法を論じる際の反論材料として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)775 / 裁判年月日: 昭和37年4月20日 / 結論: 棄却
一 検察官が当事者となる離婚無効事件の上告審判決において、当事者としての検察官の表示を検事総長何某としている判決例。 二 検察官が当事者となる離婚無効事件の上告審判決においては、当事者としての検察官の表示を検事総長何某とすべきである。
事件番号: 昭和32(オ)508 / 裁判年月日: 昭和34年8月7日 / 結論: 棄却
合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。