組合財産に属する一切の権利義務を譲渡する旨の契約をするには、総組合員の合意を必要とする。
組合財産全部の処分には総組合員の合意を要するか。
民法251条,民法668条,民法676条
判旨
組合の権利義務一切の譲渡(組合財産の包括的譲渡)を行う契約は、総組合員の合意を必要とし、この合意を欠く譲渡契約は無効である。
問題の所在(論点)
組合員の地位や組合の権利義務一切を譲渡する契約を締結する場合、どのような要件が必要となるか(民法667条以下の組合の規律における合意の範囲)。
規範
組合における権利義務一切の譲渡(いわゆる組合の事業譲渡や脱退に伴う持分以上の地位承継等)を有効になすためには、総組合員の合意を要する。
重要事実
上告人Aと被上告人との間で、組合の持分譲渡およびこれに伴う準消費貸借契約が締結された。しかし、この契約には、他の組合員全員の合意が含まれていなかった。また、原審の認定によれば、当該持分譲渡や準消費貸借は仮装行為であり、真実の内容を伴うものではなかった。さらに、予備的に錯誤の主張もなされていた事案である。
あてはめ
組合は各組合員の相互信頼関係を基礎とする契約関係であり、その権利義務一切を第三者に譲渡することは、組合員構成の変更や組合財産の処分に直結する。本件において、譲渡契約の締結に際し総組合員の合意があったとは認められない。したがって、組合の権利義務一切の譲渡をなす契約の有効要件である「総組合員の合意」を欠いているといえる。
結論
総組合員の合意なくしてなされた組合の権利義務一切の譲渡契約は無効である。
実務上の射程
組合財産の合有関係(民法676条)や組合契約の性質に照らし、事実上の組合の同一性を失わせるような包括的譲渡には全員の同意が必要であることを明示した。答案上は、組合員の交代や組合財産の処分が問題となる場面で、民法676条の趣旨を補強する規範として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)859 / 裁判年月日: 昭和35年12月9日 / 結論: 棄却
民法上の組合において組合契約その他により業務執行組合員が定められていない場合、組合員の過半数のものは、共同して右組合を代理する権限を有するものと解すべきである。
事件番号: 昭和37(オ)1032 / 裁判年月日: 昭和38年10月8日 / 結論: 棄却
手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。