民法上の組合において組合契約その他により業務執行組合員が定められていない場合、組合員の過半数のものは、共同して右組合を代理する権限を有するものと解すべきである。
民法上の組合における多数代理の許否。
民法667条,民法670条
判旨
組合契約等で業務執行組合員が定められていない場合、対外的には組合員の過半数をもって組合を代理する権限を有する。また、発起人組合が本来の目的外の取引を行った場合でも、商法(当時)上の責任追及において会社の設立の有無は結論に影響しない。
問題の所在(論点)
組合において業務執行組合員の定めがない場合、一部の組合員による取引の法律上の効果が全組合員に帰属するための要件(民法670条の代理権の範囲と行使方法)。
規範
1. 業務執行組合員の定めがない場合、組合の対外的代理権は、組合員の過半数に帰属する。 2. 発起人組合が本来の目的に属しない取引を行った場合、その組合員は商法(当時)511条1項に基づき連帯責任を負い、この責任は会社の成否を問わない。
重要事実
上告人ら7名は、株式会社の設立を目的として発起人組合を結成した。しかし、組合は本来の目的ではない石炭売買事業を会社名義で行い、被上告人から石炭を買受けた。この取引に際し、実際に交渉・契約に当たったのは組合員のうち4名(上告人A1〜A4)のみであったが、被上告人は組合員7名全員に対し、商法511条1項(現在の会社法における類似規定とは性質が異なる当時の規定)に基づき売買代金の連帯支払を求めた。
あてはめ
本件では、組合員7名のうち過半数にあたる4名が実際に取引を行っている。業務執行組合員の定めがない限り、対外的には組合員の過半数において組合を代理する権限を有すると解するのが相当である。したがって、実際には4名のみが取引に当たったとしても、その法律上の効果は、代理権を有する過半数による行為として組合員7名全員について発生する。
結論
組合員の過半数による代理行為の効果は全組合員に及ぶため、取引に直接関与していない者を含む組合員全員が連帯して代金支払債務を負う。
実務上の射程
民法上の組合における代理権の所在を確認する際のリーディングケースである。業務執行の決定(内部的意思決定)と代理権(対外的権限)をパラレルに解し、特段の定めがない限り「過半数」に代理権を認める実務上の指針となる。答案上は、数人の組合員による行為が組合全体を拘束するか否かの場面で、民法670条の解釈として引用する。
事件番号: 昭和31(オ)835 / 裁判年月日: 昭和35年10月21日 / 結論: 破棄差戻
一般に官庁の部局をあらわす文字である「部」と名付けられ、裁判所庁舎の一部を使用し、現職の職員が事務を執つていた「東京地方裁判所厚生部」は、東京地方裁判所の一部局としての表示力を有するものと認めるべきであり、東京地方裁判所当局が同部の事業の継続処理を認めた以上、これにより同裁判所は、「厚生部」のする取引が自己の取引なるか…