手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。
手形の裏書交付と原因債務についての保証契約の成否。
手形法11条,民法446条
判旨
貸金債務の支払確保のために約束手形に裏書をして交付した事実があっても、それだけで直ちに原因債務の保証契約を締結する意思表示があったとは解釈できない。また、振出人の手形債務を担保する趣旨での裏書は、原因関係を欠くものとはいえない。
問題の所在(論点)
手形債務の支払確保のためになされた裏書行為から、当然にその原因債務(貸金債務)の保証契約の成立を認めることができるか。また、原因債務の保証がない場合に、当該裏書が原因関係を欠き無効となるか。
規範
特定の債務の支払確保のために手形裏書がなされた場合であっても、裏書行為そのものから当然に原因債務(被担保債務)の保証契約成立の意思表示を推認することはできない。裏書人の意図が振出人の手形上の債務を担保する点にあるならば、裏書そのものに原因関係が存在するため、原因債務の保証がなくとも裏書は有効に成立し得る。
重要事実
訴外Dは、上告人から金を借り受けていた。Dは、この貸金債務の支払確保のために、被上告人(控訴人)を宛先とする約束手形を振り出した。被上告人は、この手形に裏書をして上告人に交付した。上告人は、この裏書行為をもって、被上告人がDの貸金債務について保証(または連帯保証)契約を締結する意思表示をしたものと主張した。
事件番号: 昭和37(オ)680 / 裁判年月日: 昭和39年11月13日 / 結論: 棄却
使用者たる会社が月賦販売の仲介業者との間に包括的契約を締結し、かつ、従業員の物品購入代金等の債務について連帯保証契約を締結することは、使用者たる会社の事業の範囲に属する。
あてはめ
被上告人が裏書をなした事実は認められるが、それのみを捉えて貸金債務の保証契約締結の意思表示があったとみることは、経験則に照らして困難である。上告人は、保証契約が裏書の原因関係とならなければ裏書そのものが原因を欠くことになると主張するが、被上告人が「振出人の手形上の債務」を担保する趣旨で裏書した場合には、その担保目的自体が原因関係となる。したがって、貸金債務の保証がなくとも裏書は原因関係を欠くことにはならない。
結論
被上告人が貸金債務の保証契約を締結したものとは解釈できない。また、当該裏書は原因関係を欠くものではなく有効である。
実務上の射程
手形裏書がなされた際の「裏書人の責任範囲」を画定する際の基準となる。実務上、裏書人の責任は原則として手形上の責任に限定され、原因債務の保証責任まで負わせるには別途明確な合意が必要であることを示している。答案上は、保証意思の有無の認定や、手形授受の直接の目的(原因関係)を特定する場面で活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)907 / 裁判年月日: 昭和35年10月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】身元保証人の損害賠償責任の範囲を定めるに当たっては、被用者の監督に関する使用者の過失の態様・程度その他の諸般の事情を総合的に斟酌すべきであり、裁判所の合理的な裁量が認められる。 第1 事案の概要:上告人は被上告人の被用者についての身元保証人であった。被用者が被上告人に損害を与えたため、被上告人が上…