手形債務を主たる債務として手形外の連帯保証契約が締結されている場合において、連帯保証人に対し裁判上の請求がされたときは、手形債務についても消滅時効が中断する。
主たる債務が手形債務である連帯保証人に対する裁判上の請求と手形債務の消滅時効の中断
民法147条1号,民法149条,民法434条,民法458条,手形法71条
判旨
手形債務を主たる債務とする手形外の連帯保証人に対し裁判上の請求がされた場合、民法458条・434条(当時)に基づき、主たる債務である手形債務についても消滅時効が中断する。
問題の所在(論点)
手形債務を主たる債務とする手形外の連帯保証人に対する裁判上の請求によって、主たる債務である手形債務の消滅時効が中断するか。また、その際に手形の呈示が必要か。
規範
手形債務を主たる債務として手形外の連帯保証契約が締結されている場合、連帯保証人に対する裁判上の請求は、主たる債務についても消滅時効中断の効力を生ずる。手形債務が呈示証券性を有するとしても、その時効中断に手形の呈示は不要であり、連帯債務に関する民法の規定による時効中断の効力を否定する理由にはならない。
重要事実
上告人は、手形債務を主たる債務とする手形外の連帯保証人であった。債権者がこの連帯保証人に対して裁判上の請求を行ったところ、主たる債務である手形債務についても時効中断の効力が及ぶか、また、その際に手形の呈示がないことが時効中断の効力に影響するかが争点となった(なお、事案の具体的な手形金額や日付等の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
民法458条により連帯保証債務には連帯債務の規定が準用され、さらに同法434条(当時)によれば、連帯債務者の一人に対する請求は他の債務者に対しても効力を生ずる。この理は主たる債務が手形債務である場合も同様に適用されるべきである。また、判例上、手形債務の時効中断に手形の呈示は不要とされており、本件のように連帯債務の規定を介して時効中断の効力が波及する場合であっても、手形の呈示を伴わないことを理由にその効力を否定することはできない。
結論
連帯保証人に対する裁判上の請求により、主たる債務である手形債務の消滅時効は中断する。
実務上の射程
手形債務の附随的性質を肯定し、民法の保証・連帯債務の規定を素直に適用する。なお、現行民法では441条本文により相対的効力が原則となったが、458条が準用する441条但書に基づき、債権者が別段の意思表示(特約等)をしていれば同様の帰結となり得る。答案では時効中断(更新)の波及効に関する基本判例として活用する。
事件番号: 昭和44(オ)188 / 裁判年月日: 昭和45年4月21日 / 結論: 破棄差戻
約束手形の振出人のため手形金債務の支払につき受取人との間で手形外の保証契約が締結されている場合には、裏書によつて手形債権を取得した者は、これとともに保証債権を取得し、かつ、その取得につき対抗要件を具備することなく、保証人に対し保証債務の履行を求めることができる。
事件番号: 昭和37(オ)1032 / 裁判年月日: 昭和38年10月8日 / 結論: 棄却
手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。