債権者のする破産宣告の申立は、債権の消滅時効の中断事由たる裁判上の請求にあたる。
債権者のする破産宣告の申立と時効中断事由
民法147条1号,民法149条,民法152条
判旨
連帯保証人に対する破産宣告の申立ては、裁判上の請求として時効中断の効力を有し、その効力は民法458条(旧434条準用)に基づき主債務者にも及ぶとともに、当該破産手続終了まで継続する。
問題の所在(論点)
連帯保証人に対する破産宣告の申立てが、主債務の消滅時効を中断させる「裁判上の請求」にあたるか、また、その中断効はいつまで継続するか。
規範
債権者が連帯保証人に対して行う破産宣告(現:破産手続開始)の申立ては、時効中断事由である「裁判上の請求」に該当する。また、連帯債務の規定を準用する民法458条により、連帯保証人に対する履行の請求は主債務者に対してもその効力を生じる。さらに、この中断の効力は当該破産手続が終了するまで継続する。
重要事実
農薬の製造業者である被上告人は、訴外D社に対して農薬の売掛代金債権(旧民法173条1号の短期消滅時効2年の対象)を有していた。D社が債務を認めて代物弁済を行った昭和35年7月16日から時効が進行していたが、時効完成前の昭和36年3月13日、被上告人は連帯保証人である上告人に対し、保証債務に基づく履行請求権を原因として破産宣告の申立てを行った。当該破産事件は継続中であり、上告人は主債務の時効消滅を主張して争った。
あてはめ
被上告人が連帯保証人である上告人に対して行った破産宣告の申立ては、権利の行使を裁判上で行うものであるから、時効を中断させる「裁判上の請求」と解される。本件では上告人は連帯保証人であるため、連帯債務における履行の請求に絶対的効力を認める民法458条・434条(当時)が適用される。したがって、連帯保証人に対する申立ては主債務者に対する時効中断の効力も生じさせる。加えて、この中断効は破産手続が裁判所に係属している間、すなわち手続終了まで継続するため、依然として時効は完成していないと評価される。
結論
連帯保証人に対する破産宣告の申立てにより主債務の時効も中断し、その効力は手続終了まで継続するため、上告人の時効の抗弁は認められない。
実務上の射程
改正民法下では、連帯債務・連帯保証における履行の請求は「相対的効力」に変更された(改正後441条本文)。しかし、本判決が示した「破産手続開始の申立てが裁判上の請求(現:請求等による時効の完成猶予・更新)にあたる」という性質決定や、手続係属中の効力継続という理屈は、現在も破産法等の解釈において重要な指針となる。
事件番号: 平成7(オ)740 / 裁判年月日: 平成9年9月9日 / 結論: 破棄自判
一 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をした後、右債権全額を代位弁済した保証人が、破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときは、右代位弁済により保証人が取得した求償権の消滅時効は、右求償権の全部について右届出名義の変更の申出の時から破産手続の終了に至るまで中断する…