約束手形の振出人のため手形金債務の支払につき受取人との間で手形外の保証契約が締結されている場合には、裏書によつて手形債権を取得した者は、これとともに保証債権を取得し、かつ、その取得につき対抗要件を具備することなく、保証人に対し保証債務の履行を求めることができる。
手形金債務の支払につき手形外の保証契約が締結されている場合と裏書によつて手形債権を取得した者の保証人に対する履行請求
民法446条,民法467条,手形法14条,手形法32条
判旨
手形債権を担保するために締結された民事保証債権は、手形が裏書譲渡された場合、保証債務の随伴性に基づき、別段の対抗要件を具備することなく被裏書人に移転する。
問題の所在(論点)
手形債権の裏書譲渡に伴い、その手形債権を主たる債権とする手形外の民事保証債権が当然に移転するか。また、その移転について指名債権譲渡の対抗要件(民法467条)を別途具備する必要があるか。
規範
保証債権は、主たる債権を担保する目的上附従性を有し、主たる債権の移転に随伴する性質を持つ(随伴性)。したがって、主たる債権が譲渡され対抗要件が具備された場合には、保証債権も当然に移転し、譲受人は別段の対抗要件の手続を履践することなく保証債務の履行を請求できる。この理は、主たる債権が手形債権であり、譲渡が裏書による場合であっても同様である。
重要事実
振出人Dは受取人Eに対し本件約束手形を交付した。信用組合Gは、本件手形の信用を補完するため、Eに対し振出人Dと連帯して支払義務を負う旨の民事保証(手形外保証)を行った。その後、本件手形はEからF、Fから上告人へと順次裏書譲渡された。上告人はGに対し保証債務の履行を求めたが、Gは保証債権の譲渡について指名債権譲渡の対抗要件(通知・承諾)が欠けていると主張した。
あてはめ
本件における保証は、手形金債務を主たる債務とする民事保証である。保証債権には随伴性が認められるため、主たる債権である手形債権が裏書譲渡されれば、これに伴い保証債権も移転する。手形債権の譲渡は裏書・交付によって有効になされるところ、この態様であっても随伴性は否定されない。したがって、裏書によって手形債権を取得した上告人は、民事保証債権についても当然に承継しており、別途通知や承諾の手続を要せず、保証人Gに対し権利を主張できる。
結論
手形債権が裏書譲渡された場合、民事保証債権も随伴性により当然に移転するため、上告人は保証債務の履行を請求できる。
実務上の射程
手形外保証(隠れた手形保証)の随伴性を認めた重要判例。答案では、手形債権の譲受人が手形外保証の効力を主張する場面で、民法上の随伴性の法理を援用して論証する。保証書の名宛人が特定されていても、直ちに譲渡禁止特約とは解されない点も実務上重要である。
事件番号: 昭和37(オ)1159 / 裁判年月日: 昭和38年3月28日 / 結論: 棄却
本件保証が手形債務の保証であることの主張がある以上、本件保証には商行為性があり連帯保証となると判断したからといつて、当事者の主張しない事項を認定判断したことにはならない。
事件番号: 昭和37(オ)1032 / 裁判年月日: 昭和38年10月8日 / 結論: 棄却
手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。