判旨
身元保証人の損害賠償責任の範囲を定めるに当たっては、被用者の監督に関する使用者の過失の態様・程度その他の諸般の事情を総合的に斟酌すべきであり、裁判所の合理的な裁量が認められる。
問題の所在(論点)
身元保証に関する法律5条に基づく身元保証人の責任範囲の算定において、使用者の監督上の過失等の諸事情をいかに考慮すべきか、またその判断における裁判所の裁量の可否が問題となる。
規範
身元保証に関する法律5条に基づき、身元保証人の損害賠償の責任及びその金額を定めるにあたっては、使用者の監督上の過失の有無、身元保証をするに至った事由及びこれをするに際し払った注意の程度、被用者の任務又は身分の変化その他一切の事情を斟酌しなければならない。これらは事実認定に基づき裁判所の裁量によって決定されるべき事項である。
重要事実
上告人は被上告人の被用者についての身元保証人であった。被用者が被上告人に損害を与えたため、被上告人が上告人に対し身元保証債務の履行を求めたところ、原審は被上告人側の監督上の過失等の事情を具体的に認定した上で、上告人が賠償すべき責任額を算定した。これに対し上告人は、認定された額が依然として高額に過ぎると主張して上告した。
あてはめ
原審は、被上告人の使用者としての監督上の過失の態様および程度について、具体的な証拠に基づき詳細に認定している。その上で、当該過失およびその他一切の事情を総合的に斟酌して責任額を算定しており、これは身元保証法5条が予定する裁量の範囲内にある適正な判断といえる。したがって、算定された額が不当に高いとする上告人の主張は、裁量権の逸脱を認めるに足りる理由がない。
結論
原審の責任額算定の判断に違法はなく、上告を棄却する。身元保証人の責任範囲は、使用者の監督状況等を含む諸般の事情を総合考慮した裁判所の裁量判断に従う。
事件番号: 昭和37(オ)242 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 棄却
身元保証人に関する法律第五条所定の諸事情を斟酌して損害賠償額を量定するにあたり、その算数的根拠を判示する必要はない。
実務上の射程
身元保証人の責任を制限する際の判断枠組みを示すものである。答案上は、身元保証法5条の適用場面において、使用者の過失(監督不十分など)をいかに責任減免事情として構成するかを論じる際の根拠となる。裁判所の広範な裁量を認めるため、事実認定における「監督上の過失の程度」を具体的に摘示することが重要となる。
事件番号: 昭和32(オ)1108 / 裁判年月日: 昭和33年4月17日 / 結論: 棄却
同種の債権を有する者一七名の代理人が、右債権につき一括して債務者以外の第三者との間に連帯保証契約を締結したことを原因とし、右第三者に対してその契約上の債務の履行を求める場合、右債権者一七名は、民訴第四七条第一項にいわゆる「共同ノ利益ヲ有スル多数者」に該当し、その当事者の選定は有効と解すべきである
事件番号: 昭和37(オ)1032 / 裁判年月日: 昭和38年10月8日 / 結論: 棄却
手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。