第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したかどうかの主張立証の責任は、その表示ありとして第三者弁済の無効を主張する者の側にある。
第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したことの主張立証責任。
民法474条1項,民訴法第3章第1節
判旨
第三者の弁済につき債務者の反対の意思があるとしてその無効を主張する場合、反対の意思表示の存在についての主張立証責任は無効を主張する側にある。また、債務不履行による契約解除の主張は、直ちに第三者弁済に対する反対の意思表示と認めることはできない。
問題の所在(論点)
民法474条柱書(旧474条1項)但書にいう「債務者の意思に反するとき」の主張立証責任の所在、および契約解除の主張が同但書の「反対の意思表示」に該当するか。
規範
1. 第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したかどうかの主張立証責任は、その表示があるとして第三者弁済の無効を主張する者(債権者または債務者)に帰属する。 2. 契約当事者が債務不履行を原因とする契約解除を主張している事実は、債務が消滅したとの主張には留まるが、直ちに第三者弁済に対する「反対の意思」(民法474条柱書但書、旧法474条1項但書)を表示したものとは認められない。
重要事実
1. A1(売主・上告人)とA2(買主・上告人)の間で物件の売買契約が締結され、代金支払は割賦払とされた。 2. A2は被上告会社との取引債務の担保として本件物件を供する予約をし、後に被上告会社が予約完結権を行使した(所有権取得を条件とする代物弁済契約)。 3. その後、被上告会社はA2のA1に対する売買代金債務について、第三者として弁済供託を行った。 4. A1およびA2は、従前より第一審からA2の代金債務不履行を理由とする売買契約の解除を主張していたため、第三者弁済について当事者が反対の意思を表明している場合に当たり、当該弁済供託は無効であると主張して上告した。
事件番号: 昭和30(オ)648 / 裁判年月日: 昭和32年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】表見代理の成立要件である「正当の理由」の有無は、事実認定の問題であり、原審が証拠に基づいてこれを否定した判断は違法ではない。 第1 事案の概要:上告人の代理人Dが、訴外Eに被上告人を代理して本件土地を売却する権限があるものと信じて取引を行った。上告人は、Dがそのように信じたことについて「正当の理由…
あてはめ
1. 第三者弁済の有効性は原則であり、例外である「反対の意思」の存在を主張して無効を争う者がその事実を立証すべきであるが、本件記録上、反対の意思表示があったとの具体的な主張立証は認められない。 2. A1・A2が契約解除を主張していた事実は認められるが、これはあくまで契約解除の結果として債務が消滅したことを主張するものであり、存続する債務について第三者が肩代わりすることに対する拒絶の意思(反対の意思)を明確にしたものとは解し難い。
結論
第三者弁済(弁済供託)は有効であり、反対の意思表示があったことを前提とする上告人の主張は採用できない。
実務上の射程
第三者弁済の有効性を争う場面での立証責任を明確にした重要判例である。答案上では、単に不仲であることや契約の効力自体を争っていること(解除主張など)だけでは、民法474条の「反対の意思」の認定には不十分であることを指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和36(オ)338 / 裁判年月日: 昭和39年3月6日 / 結論: 棄却
甲からその所有不動産の遺贈を受けた乙がその旨の所有権移転登記をしない間に、甲の相続人の一人である丙に対する債権者丁が、丙に代位して同人のために前記不動産につき相続による持分取得の登記をなし、ついでこれに対し強制競売の申立をなし、該申立が登記簿に記入された場合においては、丁は、民法第一七七条にいう第三者に該当する。
事件番号: 昭和33(オ)416 / 裁判年月日: 昭和38年3月28日 / 結論: 棄却
一 甲が登記簿上乙の所有名義になつている甲所有の建物を丙に譲渡した後、丙の所有権取得登記前に、甲の債権者丁が右建物についてなした乙より甲への代位による所有権移転登記ならびに甲を債務者とする仮差押の登記は、いずれも有効である。 二 右仮差押の登記後丙の所有権取得登記がなされても、丙は建物所有権取得をもつて丁に対抗すること…
事件番号: 昭和33(オ)554 / 裁判年月日: 昭和36年8月17日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加訴訟において、一当事者が証書の成立を認める自白をしても、参加人がこれを争う以上、当該自白の効力は参加人には及ばず、二段の推定(民訴法228条4項)も適用されない。 第1 事案の概要:不動産所有権移転登記手続請求事件の控訴審において、第三者Aが民訴法47条に基づき独立当事者参加した。本…
事件番号: 昭和36(オ)286 / 裁判年月日: 昭和37年3月6日 / 結論: 棄却
一 国税徴収法第一七八条により民法第四二四条を準用する場合において、同条第一項但書にいわゆる受益者または転得者の善意の挙証責任は受益者または転得者に存するものと解すべきである。 二 甲に対して債務二七〇余万円を負担する乙が、少なくともそのうち一二〇万円の未払額あることを知りつつ、唯一の財産である価格二〇〇万円相当の不動…