判旨
独立当事者参加訴訟において、一当事者が証書の成立を認める自白をしても、参加人がこれを争う以上、当該自白の効力は参加人には及ばず、二段の推定(民訴法228条4項)も適用されない。
問題の所在(論点)
独立当事者参加訴訟(三面訴訟)において、一当事者が行った証書の真正成立に関する自白の効力は、これを争う他の当事者(参加人)に対しても及ぶか。民訴法40条1項(旧62条)の準用による制約が問題となる。
規範
民事訴訟法47条(旧71条)に基づく独立当事者参加訴訟には、同条4項(旧同条後段)を通じて共同訴訟関係の規定(同法40条、旧62条)が準用される。その結果、合一確定の要請から、ある当事者の相手方に対する自白その他の訴訟行為は、他の当事者の不利益となる場合にはその効力を生じない。したがって、書面の印影の成立について一当事者に自白があっても、他の当事者がこれを争う限り、自白による真正成立の推定(同法228条4項、旧326条)は当該他の当事者との関係では生じない。
重要事実
不動産所有権移転登記手続請求事件の控訴審において、第三者Aが民訴法47条に基づき独立当事者参加した。本案において、控訴人B2が提出した売買契約書(乙1号証)について、被控訴人B1は作成名義人の印影が真正であることを認めた(自白)。しかし、参加人Aは当該証書の成立を否定し、一貫して争っていた。原審は、B1の自白によって同証書が真正に成立したものと推定し、これをAとの関係でも事実認定の資料として用いて売買契約の成立を認めた。
あてはめ
本件訴訟は独立当事者参加訴訟であり、民訴法40条が準用される。参加人Aは乙1号証の成立を否定しているため、B1がB2に対して行った印影の成立を認める行為は、Aにとって不利益な訴訟行為にあたる。この場合、B1の自白のみを根拠に同証書の真正を推定することは、事実上Aにも自白の効力を及ぼすことになり、共同訴訟人独立の原則の修正としての不利益行為禁止の趣旨に反する。したがって、Aとの関係では民訴法228条4項の推定を適用して事実認定の資料とすることは許されない。
結論
B1の自白をもって参加人Aとの関係でも証書の成立を肯定し、売買契約成立を認定した原判決には法令の解釈適用の誤りがある。原判決を破棄し、差し戻すべきである。
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
実務上の射程
独立当事者参加訴訟が「必要的共同訴訟」に準じて扱われることを確認した判例である。答案上は、三面訴訟における証拠調べや事実認定の共通性を論じる際、一部の当事者による自白(特に権利自白や文書の真正に関するもの)が他の当事者を拘束しないことを示す根拠として活用できる。自由心証主義による事実認定の共通性と、不利益訴訟行為の効力排除を峻別して記述することが重要である。
事件番号: 昭和28(オ)843 / 裁判年月日: 昭和30年7月5日 / 結論: 棄却
不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基き所有者名義人に対し、所有権移転登記の請求を為し得るものと解すのが相当である。
事件番号: 昭和33(オ)619 / 裁判年月日: 昭和36年4月27日 / 結論: 棄却
甲が乙から山林を買い受けその引渡を受けて二十数年を経た後に、右事実を熟知していた丙が、甲の所有権取得登記が未了なのに乗じ、甲に対する別の紛争につき復讐しようとし、乙の相続人丁に対しその意図を打ち明けて右山林の売却方を懇請し、低廉な価格でこれを同人から買い受け登記をする等、原審認定のような事情(原判決理由参照)があつたと…
事件番号: 昭和33(オ)943 / 裁判年月日: 昭和35年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の撤回は、その自白が真実に反し、かつ、錯誤に基づくものであるときは、適法に認められる。また、付随的義務の不履行を理由とする売買契約の解除は認められない。 第1 事案の概要:本件土地の売買において、履行期等に関する特約の有無が争点となった。控訴代理人は当初、特約が存在する旨の準備書面を提…
事件番号: 昭和31(オ)1033 / 裁判年月日: 昭和33年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白が成立するのは主要事実に限られ、間接事実に関する自白には拘束力が生じない。また、自由心証主義の下では、間接事実が存在したとしても、裁判所が直ちに主要事実を認定すべき義務を負うものではない。 第1 事案の概要:上告人は、Dから上告人への贈与契約が成立したと主張したが、原審はその主張を排斥…