伝聞証言の証拠能力は必ずしも当然に制限されるものではなく、裁判官の自由な心証による判断に委されていると解すべきである。
伝聞証言の証拠能力
民訴法185条
判旨
民事訴訟において、伝聞証言の証拠能力は当然には制限されず、その採否は裁判官の自由な心証に委ねられる。
問題の所在(論点)
民事訴訟において、いわゆる伝聞証言に証拠能力が認められるか。また、その採否を裁判官の自由な心証(自由心証主義)に委ねることができるか。
規範
民事訴訟法における証拠調べについては、特段の制限がない限り、裁判官が自由な心証によって証拠の価値を判断すべきである。したがって、伝聞証言であっても、当然にその証拠能力が制限されるものではなく、裁判官の自由な心証に基づく判断に委ねられる。
重要事実
本件の上告人は、原審が伝聞証言に基づく供述を採用したこと、および直接見聞に基づく証言を排斥して伝聞証言のみを採用した(と主張する)ことについて、証拠法則の違反や理由不備があると主張して上告した。なお、原判決の具体的な事件内容や伝聞証言の具体的な中身については判決文からは不明である。
あてはめ
事件番号: 昭和39(オ)848 / 裁判年月日: 昭和40年10月5日 / 結論: 棄却
供託書の記載を司法書士に依頼するに際し、法律知識のとぼしい普通の人間は、法律専門職である司法書士に対し供託原因の記載内容まで指示することは通常期待できない、という経験則はない。
民事訴訟における証拠能力の制限は、刑事訴訟のような厳格な法定証拠法則(伝聞法則)が存在しない。原審が採用した証言の中に伝聞証言が含まれていたとしても、それが直ちに違法となるものではない。また、原審は上告人が主張するように直接見聞に基づく証言をすべて排斥して伝聞証言のみを採用したという事実も認められない。したがって、証拠の取捨選択および事実認定は裁判所の専権に属する事項である。
結論
伝聞証言の採用に違法はなく、原審の認定判断は適法である。上告を棄却する。
実務上の射程
民事訴訟において伝聞法則の適用がないことを確認した重要判例である。答案上は、証拠能力の制限が緩やかであることを示す際に、自由心証主義(民訴法247条)の帰結として言及するのが効果的である。
事件番号: 昭和36(オ)93 / 裁判年月日: 昭和38年10月3日 / 結論: 棄却
原裁判所の裁判が公正妥当を欠くものであるとしても、裁判所において裁判を受ける権利を奪われたものとはいえないから、右裁判が憲法第三二条に違反したとはいえない(昭和二二年(れ)第四八号同二三年五月二六日大法廷判決、刑集二巻五号五一一頁、昭和二三年(れ)第五一二号同二四年三月二三日大法廷判決、刑集三巻三号三五二頁参照)。
事件番号: 昭和38(オ)909 / 裁判年月日: 昭和39年6月25日 / 結論: 棄却
証言及び当事者本人尋問の結果の採否について具体的事由を説示することなく単にこれを措信し難いとした点に違法はない(昭和三〇年(オ)第八五一号、昭和三二年六月一一日第三小法廷判決、民集一一巻六号一〇三〇頁参照)。
事件番号: 昭和35(オ)1037 / 裁判年月日: 昭和36年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論において当事者間に争いのない事実は自白としての効力を有し、裁判所はこれに拘束される。そのため、提出された証拠の記載が自白の内容と矛盾する場合であっても、裁判所は自白に反する事実認定を行うことはできない。 第1 事案の概要:本件土地の所有権について、被上告人の所有に属する事実が第一審判決の事…