判旨
民事訴訟において、いわゆる伝聞証言であっても、それが事実認定の証拠として提出された場合には、自由心証主義に基づき、裁判所はその証拠能力を認め、証拠価値を適切に評価して事実認定の基礎とすることができる。
問題の所在(論点)
民事訴訟において、伝聞証言(公判外の第三者の供述を内容とする証言)に証拠能力が認められるか、またその証拠力をどのように評価すべきかが問題となる。
規範
民事訴訟法における自由心証主義の下では、証拠能力に原則として制限はなく、いわゆる伝聞証言であっても直ちに証拠能力が否定されるものではない。裁判所は、当該伝聞証言の信頼性や作成過程を考慮した上で、その証拠価値(証明力)を合理的に評価し、事実認定の基礎とすることができる。
重要事実
上告人は、原審が伝聞証言に基づいて事実認定を行ったことの違法を主張し、当該証言には証拠能力がないか、あるいは証拠力が著しく低いものであると争った。なお、具体的な事件の背景となる取引や事故等の事実は、本判決文の記載からは不明である。
あてはめ
本判決は、昭和27年12月5日の先例を引用しつつ、伝聞証言の証拠力に関する上告人の主張を退けた。民事訴訟では刑事訴訟のような伝聞法則の厳格な適用はなく、裁判所の合理的な心証形成に委ねられる。本件においても、原審が伝聞証言を証拠として採用し、事実認定を行った過程に法令違反や重要な解釈の誤りはないと判断された。
結論
民事訴訟において伝聞証言には証拠能力があり、その採否や評価は裁判所の自由な心証に属する。したがって、これを用いた事実認定は適法である。
実務上の射程
民事訴訟における証拠能力の広範さを確認する際や、伝聞証拠の排斥を主張された際、自由心証主義(民訴法247条)の帰結として、伝聞法則が適用されないことを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和36(オ)288 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論において証拠が提出された場合であっても、当事者がその結果について援用・演述を行わない限り、裁判所はこれを事実認定の資料とすることはできない。 第1 事案の概要:当事者が原審において鑑定書を提出し、それが口頭弁論の場に顕出されていた。しかし、記録によれば、当事者双方はその鑑定書の内容や結果に…
事件番号: 昭和36(オ)929 / 裁判年月日: 昭和37年3月9日 / 結論: 棄却
伝聞証言の証拠能力は必ずしも当然に制限されるものではなく、裁判官の自由な心証による判断に委されていると解すべきである。