相手方訴訟当事者が出席する口頭弁論期日において、他方当事者側から本人尋問の申請がなされ、裁判所が次回口頭弁論期日に取調べる旨告知したにもかかわらず、相手方が右尋問期日に止むことを得ざる事由なくして出頭しなかつた場合には、相手方に本人尋問事項書の送達がなされなかつたとしても、右不送達に対する責問権の行使は認められない。
相手方訴訟当事者に対する本人尋問事項書不送達につき責問権の喪失が認められた事例
民訴法141条,民訴規則31条
判旨
当事者が立会可能な期日で本人尋問の実施が告知されていた場合、当事者が正当な理由なく欠席したとしても、反対尋問の機会を奪ったことにはならず、当該尋問結果を証拠とすることは適法である。
問題の所在(論点)
当事者が不出頭の期日に実施された本人尋問について、反対尋問の機会を与えなかったものとして、その結果を事実認定の資料とすることが許されるか(民事訴訟法における証拠調べの適法性)。
規範
証拠調べの期日が事前に告知され、当事者が尋問の実施を予知できる状況にありながら、正当な理由なく欠席した場合には、反対尋問の機会は保障されていたものと解される。したがって、尋問事項書の不送達等を理由として、当該尋問結果を事実認定の資料とすることの違法を主張することはできない。
重要事実
第一審において、上告人が出頭した第一回口頭弁論期日(昭和35年11月10日)に、被上告人本人の尋問が申請され、裁判所は次回期日にこれを取り調べる旨を告知した。しかし、上告人は第二回口頭弁論期日に不出頭であり、その欠席についてやむを得ない事由があることを認めるに足りる資料は存在しなかった。原審はこの不出頭の間に実施された本人尋問の結果を事実認定の資料とした。
あてはめ
本件では、上告人が出頭した第一回期日において、次回の本人尋問実施が明確に告知されていた。上告人は次回期日に尋問が行われることを予知できたにもかかわらず、正当な理由なく第二回期日に欠席している。このような状況下では、反対尋問の機会は十分に与えられていたといえ、尋問事項書の不送達を責問することも許されない。したがって、実施された本人尋問の手続きに違法はないと解される。
結論
不出頭の間に実施された本人尋問を事実認定の資料とした原審の措置に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
当事者の対等な審理参加(反対尋問権の保障)と訴訟遅延の防止の調整を示す事例である。期日の告知により尋問の実施を予知し得た以上、当事者の自発的な不出頭によって生じた不利益(反対尋問ができない等)は自ら負担すべきとする帰責事由の法理として答案で活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)647 / 裁判年月日: 昭和39年1月23日 / 結論: 棄却
裁判上の自白は当事者の訴訟行為としての陳述であることを要し、本人尋問において自己に不利益な事実が真実であると供述しても、右供述は自白とはならない。