証人らが訴訟当事者の一方の妻あるいは妻の兄の関係にあるとしても、その一事によつて右証人らが証人能力を有しないとか、証言の証拠価値が薄弱であるとかは断定できない。
訴訟当事者の一方と一定の身分関係にある証人の証人能力と証拠価値
民訴法第2編第3章第2節,民訴法185条
判旨
売買契約の成立には代金等の重要事項の合意が必要であり、単なる買取の申し入れや将来の個別交渉の合意のみでは契約は成立しない。また、特定の土地に関する内容証明郵便が別の土地の売却申込であるとの主張は認められない。
問題の所在(論点)
売買契約の「申込み」と「申込みの誘引」の区別、および代金合意のない段階での契約成立の可否が問題となる。本件では、内容証明郵便の送付や将来の契約締結の約束が、直ちに売買契約の成立を基礎付けるかが争点となった。
規範
売買契約(民法555条)が成立するためには、当事者間において売買の対象物および代金という契約の本質的事項について意思の合致が必要である。単なる売却の勧誘や、将来交渉によって価格が定まれば契約を締結するという「予約的な合意」にとどまる場合は、未だ本契約の成立を認めることはできない。
重要事実
被上告人(土地所有者)は、上告人を含む借地人らに対し、各賃借地の買取を申し入れた。しかし、代金について折り合いがつかないまま1ヶ月足らずで当該申入れを撤回した。その後、被上告人と借地人らの集団的話し合いにおいて「将来個別的な折衝によって価格が定まれば売買契約を締結する」旨の合意がなされたが、本件土地については結局、具体的な代金等について合意に至らなかった。上告人は、被上告人が発信した内容証明郵便を本件土地の売却申込であると主張して、契約の成立を争った。
事件番号: 昭和30(オ)995 / 裁判年月日: 昭和33年6月5日 / 結論: 棄却
一 知事の許可を停止条件として締結された農地の売買契約は、無効ではない 二 土地の買主が約定の履行期後、売主に対し、しばしばその履行を求め、かつ売主において右土地の所有権移転登記手続をすれば、何時でも支払えるよう残代金の準備をしていたときは、民法第五五七条にいわゆる「契約の履行に著手」したものと認めるのが相当である
あてはめ
まず、被上告人が送付した内容証明郵便は、本件土地に隣接する別の賃借地(56坪)に関するものであり、本件土地の売却申込とはいえない。次に、被上告人が買取を申し入れた事実があっても、代金の折り合いがつかずに撤回されている以上、有効な申込は存在しない。さらに、集団的話し合いでの合意は「価格が定まれば契約を締結する」という前提条件付きの指針に過ぎず、具体的に価格が合意されていない以上、契約の本質的事項について意思の合致があったとは評価できない。
結論
本件土地について売買契約が成立したとは認められない。したがって、上告人の請求は排斥される。
実務上の射程
契約締結上の過失や予約の成否が問題となる事案において、本契約自体の成立を否定する際の論拠として使用できる。特に、不動産売買のように代金が重要な要素となる契約では、価格決定に向けた抽象的な合意だけでは555条の契約成立には至らないことを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和37(オ)43 / 裁判年月日: 昭和39年2月7日 / 結論: 棄却
一筆の土地の一部を売り渡した者は当該部分の所有権移転登記手続をする義務がある。
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和36(オ)1026 / 裁判年月日: 昭和37年4月27日 / 結論: 棄却
上告理由として原審に提出した準備書面を引用するというだけの部分は、適式な上告理由書とならない。(昭和二八年一一月一一日大法廷判決、民集七巻一一号一一九三頁参照)
事件番号: 昭和36(オ)775 / 裁判年月日: 昭和38年11月12日 / 結論: 破棄自判
知事の許可を条件とする農地の売買契約において、これを転売したときには売主は直接転買のために右許可申請手続をする旨の合意をしても、右合意はその効力を生じない。