農業共済組合の役員選挙が、投票の方法によらず、かつその総会の出席者数は選挙権者総数の半数に満たないという違法があつたからといつて、それだけで役員選挙が取消をまたず当然に無効であるとはいえない。
農業共済組合における役員選挙手続の違法と選挙の効力
農業災害補償法31条4項,農業災害補償法81条(昭和32年法律第119号による削除前のもの)
判旨
農業共済組合の理事選挙に無記名投票制や定足数不足等の手続上の違法があっても、直ちに当然無効とはならず、それに基づく合併認可処分も無効とはならない。
問題の所在(論点)
農業共済組合の理事選挙における手続的違法(無記名投票義務違反・定足数不足)が、当該選挙を当然無効にするか。また、その違法を看過してなされた合併認可処分が無効となるか。
規範
法(旧農業災害補償法)に基づく役員選挙において、無記名投票の不実施や定足数不足といった手続上の違法があったとしても、当該違法が当然に無効事由となるとはいえず、行政庁による取消処分等がない限り有効に存続する。したがって、当該選挙により選任された理事が関与した組織行為を前提とする行政庁の認可処分も、直ちに無効とはならない。
重要事実
D農業共済組合は、理事選挙を投票によらない方法で行い、さらに定足数(選挙権者総数の半数以上)を満たさない状態で新理事を選出した。これらの新理事は他組合との合併契約を締結し、臨時総会で合併を議決した。被上告人(行政庁)はこれに対し合併認可処分を行ったが、上告人は理事選挙の違法を理由に、前提となる手続きが欠けているとして認可処分の無効確認を求めた。
事件番号: 昭和30(オ)385 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
農地買収計画に対する異議決定および訴願裁決に理由の記載がなくても、右計画に基く農地買収処分は無効ではない。
あてはめ
農業災害補償法31条4項が定める無記名投票の規定に違反し、定足数も満たしていない点において、本件選挙が違法であることは明白である。しかし、当時の同法81条に基づく行政庁への取消請求がなされた事実はなく、行政庁による取消も行われていない。手続上の違法があることのみをもって直ちに当然無効と解すべき事情もなく、当該理事らは有効に職務を遂行し得る立場にあったといえる。したがって、これら理事が招集した総会を経てなされた合併認可処分について、行政庁が選挙の違法を看過したからといって、認可処分に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められず、無効とはいえない。
結論
理事選挙に手続上の違法があっても当然無効とはならず、それを前提とした合併認可処分も無効ではないため、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の組織内選挙や決議における手続違法が、その後の認可処分の効力にどう影響するかを示す。手続違法が直ちに当然無効(客観的に明白な重大瑕疵)を招くわけではないとする判断枠組みとして、処分の公定力や手続の安定性を重視する事案で引用し得る。
事件番号: 昭和36(オ)818 / 裁判年月日: 昭和37年12月11日 / 結論: 棄却
土地区画整理法第一八条は、土地区画整理組合設立認可を申請しようとする者は、定款及び事業計画について、区域内の権利者の一定数の同意を得べき旨を規定するに止まり、区域内のすべての権利者に参加を求め、その同意を求め、あるいは、右すべての者に定款、事業計画の周知を計らなかつたからといつて、認可申請ないし認可処分の違法はきたさな…
事件番号: 昭和35(オ)1265 / 裁判年月日: 昭和37年4月17日 / 結論: 棄却
買収適格地認定の根拠法条の記載を欠く農地の買収計画または買収処分も、当然無効ではない。
事件番号: 昭和33(オ)5 / 裁判年月日: 昭和36年3月24日 / 結論: 棄却
買収計画の縦覧期間が一日不足していたということだけでは、右計画に基く買収処分は当然無効となるものではない。