土地区画整理法第一八条は、土地区画整理組合設立認可を申請しようとする者は、定款及び事業計画について、区域内の権利者の一定数の同意を得べき旨を規定するに止まり、区域内のすべての権利者に参加を求め、その同意を求め、あるいは、右すべての者に定款、事業計画の周知を計らなかつたからといつて、認可申請ないし認可処分の違法はきたさない。
土地区画整理組合設立認可申請をする者は、区域内のすべての権利者に対し申請に参加することを求める必要があるか。
土地区画整理法18条
判旨
土地区画整理組合の設立手続において、発起人が区域内の全権利者に参加を求め、定款等を周知させることは、認可申請の法的要件ではない。法所定の同意を得ていれば、全権利者への周知や決議を経ていなくても、組合設立認可処分は違法とならない。
問題の所在(論点)
土地区画整理組合の設立認可申請において、法18条所定の同意を得るだけでなく、区域内の全権利者に対して参加を求め、事業計画や定款の内容を周知させるなどの手続を執ることが、認可処分の適法要件として必要か。
規範
土地区画整理法18条は、組合設立認可申請にあたり定款等について区域内権利者の一定数の同意を得ることを求めているが、全権利者の参加や周知を義務付けてはいない。また、同法20条が申請後の事業計画の縦覧や意見書提出の機会を保障していることから、全権利者への事前周知等がなされなかったとしても、直ちに認可処分が違法となるものではない。
重要事実
土地区画整理組合の設立に際し、発起人らが定款や事業計画を決定するにあたって、施行地区内の権利者全員に参加を求めたり、全体の決議を経たりすることなく設立認可の申請を行った。これに対し、一部の権利者である上告人らが、全権利者に対する参加要請や周知を欠いた設立手続は違法であり、これに基づくなされた認可処分も違法であると主張して争った。
事件番号: 昭和35(オ)1355 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
農業共済組合の役員選挙が、投票の方法によらず、かつその総会の出席者数は選挙権者総数の半数に満たないという違法があつたからといつて、それだけで役員選挙が取消をまたず当然に無効であるとはいえない。
あてはめ
土地区画整理法18条は一定数の同意を要件とするに留まり、全権利者への周知等を規定していない。加えて、同法20条による縦覧・意見書提出制度により事後的な利益保護が図られている。したがって、発起人が全権利者に参加を求めることが望ましいとしても、その欠如のみで認可処分を違法とすることはできない。本件組合設立手続において全権利者の参加が得られていなくとも、法18条の同意があれば足りる。
結論
土地区画整理組合の設立手続に違法はなく、本件設立認可処分を違法とすることはできない。上告棄却。
実務上の射程
行政処分の適法性を判断するにあたり、法に明文のない手続的義務を付加することを否定した事例。土地区画整理事業のように利害関係人が多数に及ぶ事案では、法定された手続(同意や縦覧)を履践していれば、全員への周知といった望ましい配慮が欠けていても処分の効力には影響しないことを示す。
事件番号: 昭和57(行ツ)128 / 裁判年月日: 昭和60年12月17日 / 結論: 棄却
一 土地区画整理組合の設立認可は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 二 土地区画整理組合の事業施行地区内の宅地の所有者は、右事業施行に伴う処分を受けるおそれのあるときは、同組合の設立認可処分の無効確認訴訟につき原告適格を有する。 三 甲が、乙を被告とする丙土地区画整理組合の設立認可処分の無効確認請求と同組合を被告…
事件番号: 昭和33(オ)616 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
農地委員会は、未墾地買収計画を定めたときは、遅滞なくその旨を公告し一定書類を一定期間縦覧に供すれば足り、地主に通知することを要しない。
事件番号: 昭和36(オ)947 / 裁判年月日: 昭和38年3月15日 / 結論: 棄却
被買収者が農地所在の村で農地委員の選挙権を行使した等の事実があつても、右買収基準時に教師として他村に転任しその学校住宅に家族とともに居住していたという事実関係のもとにおいては、その住所が当該農地の所在地にあつたと認めなければならないものではない。
事件番号: 昭和37(オ)1388 / 裁判年月日: 昭和38年12月12日 / 結論: 棄却
利害関係を有する者が農地委員会長として関与してなされた自作農創設特別措置法三条の規定に基づく農地買収計画樹立決議は、違法ではあるが、他に著しく決議の公正を害する特段の事由の認められないかぎり無効ではない。