一 土地区画整理組合の設立認可は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 二 土地区画整理組合の事業施行地区内の宅地の所有者は、右事業施行に伴う処分を受けるおそれのあるときは、同組合の設立認可処分の無効確認訴訟につき原告適格を有する。 三 甲が、乙を被告とする丙土地区画整理組合の設立認可処分の無効確認請求と同組合を被告とする仮換地指定処分の無効確認請求(第二次的にその取消請求)とを併合請求し、後者の処分の違法無効事由として丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由をも主張している訴訟において、前者の請求については一、二審判決とも訴えを不適法として却下すべきものとし、後者の請求については、一審が第一次請求を認容したのに対し、原審は第一次、第二次請求とも棄却すべきものとしたため、原判決に対し甲のみが上告したものであるところ、丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由等の有無については、一審以来重要な争点として、当事者双方の主張、立証が十分に尽くされているなど判示のような事情がある場合に、上告審において、前者の訴えを却下すべきものとした原審の判断は違法であるが、後者の請求についてした原審の認定判断が是認でき、その確定した事実関係によれば前者の訴えによる請求は理由がないと判断したときは、右訴えについて、原判決を破棄し、一審判決を取り消したうえ、事件を一審裁判所に差し戻すことは必要でなく、その請求の当否について直ちに判断することが許される。 四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」にされる仮換地指定処分は、換地予定地的なものであつても、換地計画に基づくことを要しない。
一 土地区画整理組合の設立認可と抗告訴訟の対象 二 土地区画整理組合の事業の施行地区内の宅地の所有者と当該組合設立認可処分の無効確認訴訟の原告適格 三 上告審が下級審の訴え却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差し戻すことなく上告を棄却した事例 四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「工事のため必要がある場合」にされる換地予定地的仮換地指定処分と換地計画の要否
土地区画整理法3条2項,土地区画整理法14条,土地区画整理法21条1項,土地区画整理法21条4項,土地区画整理法25条1項,土地区画整理法98条1項前段,行政事件訴訟法3条2項,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法36条,民訴法388条,民訴法396条
判旨
土地区画整理組合の設立認可は、公法上の法人を成立させ組合員に権利義務を強制する行政処分に該当し、組合員となる施行地区内の土地所有者等は、その無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する。
問題の所在(論点)
土地区画整理法に基づく組合設立認可処分が、行政事件訴訟法上の「行政処分」に該当するか。また、組合員とされる地区内土地所有者等は、当該認可処分の無効確認を求める「法律上の利益」を有するか(原告適格)。
規範
土地区画整理組合の設立認可は、単なる事業計画の確定にとどまらず、施行地区内の宅地所有者等を強制的に組合員とする公法上の法人を成立させ、事業施行権限を付与する効力を有するため、行政処分に当たる。また、組合員は、役員の選挙権等の権利を取得し事業経費の分担義務を負うなど、法律上当然に特定の地位を強制されるため、当該認可処分の効力を争うにつき行政事件訴訟法36条の「法律上の利益」を有する。
重要事実
大阪市長(被上告人)が土地区画整理組合(被上告組合)の設立を認可したところ、施行地区内の宅地所有者であり組合員とされた上告人が、当該設立認可処分の無効確認を求めて出訴した。第一審および原審は、土地区画整理事業の事業計画決定の処分性を否定した昭和41年大法廷判決を援用し、組合設立認可についても処分性および訴えの利益を否定して、訴えを不適法として却下したため、上告人が上告した。
あてはめ
本件認可処分は、法21条4項等に基づき、反対者の意思にかかわらず強制的に組合員としての地位(権利・義務)を発生させる。上告人は施行地区内の宅地所有者として、仮換地指定や賦課金徴収等の対象となる立場にあり、被上告組合の不成立を主張してこれら一切の処分を否定しようとしている。したがって、認可処分によって直接自己の権利義務に影響を受ける立場にあるといえ、その効力を争う法律上の利益が認められる。先行判例が対象とした都道府県知事による施行とは異なり、組合施行では設立認可が法人の成立という独自の法的効果を伴う。
結論
土地区画整理組合の設立認可は行政処分に該当し、組合員とされる土地所有者は、その無効確認を求める訴えについて原告適格を有する。
実務上の射程
行政処分性および原告適格の判断において、単なる準備行為か、あるいは法的な権利義務の変動を直接伴うかという実質的基準を示す。組合施行と公的主体施行(青写真理論)を区別する際のメルクマールとして重要である。なお、本判決後、平成20年大法廷判決により、公的主体施行の事業計画決定についても処分性が肯定されるに至っている点に注意が必要である。
事件番号: 昭和36(オ)1183 / 裁判年月日: 昭和37年12月14日 / 結論: 棄却
私人に権利を設定しまたは義務を免除する行政処分は、その成立に瑕疵があつても、処分庁において職権でこれを取り消し、変更し得るには、当該処分を取り消し、変更することの公益上の必要性が、処分関係人をしてその取消・変更による不利益を受忍させるに足るほど緊要なものであることを必要とする。
事件番号: 昭和42(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和47年12月8日 / 結論: 棄却
旧特別都市計画法に基づき換地予定地が指定されたのちにおいても、区画整理事業の規模の大幅縮減に伴い、同土地を換地予定地から除外する必要を生じ、指定の相手方もいまだ現実に同土地の使用収益を行なつていないなど判示のような事情があるときは、区画整理事業施行者は、同土地につき換地予定地の指定を取り消す旨の変更指定処分をすることが…
事件番号: 昭和34(オ)513 / 裁判年月日: 昭和35年5月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧土地区画整理法に基づき行われた換地予定地の指定処分は、新法施行後に手続規定の差異が生じたとしても、新法施行法に基づき新法上の仮換地指定としての効力を維持する。 第1 事案の概要:上告人は、旧土地区画整理法(旧法)に基づいてなされた本件換地予定地の指定処分について、無効を主張して争った。その理由は…
事件番号: 昭和41(行ツ)77 / 裁判年月日: 昭和48年2月2日 / 結論: 破棄自判
土地区画整理法一〇三条による換地処分がなされたときは、右処分における従前の宅地についてなされた仮換地指定処分の取消を求める訴の利益は失われる。