旧特別都市計画法に基づき換地予定地が指定されたのちにおいても、区画整理事業の規模の大幅縮減に伴い、同土地を換地予定地から除外する必要を生じ、指定の相手方もいまだ現実に同土地の使用収益を行なつていないなど判示のような事情があるときは、区画整理事業施行者は、同土地につき換地予定地の指定を取り消す旨の変更指定処分をすることができる。
旧特別都市計画法に基づく換地予定地の変更指定処分が違法でないとされた事例
旧特別都市計画法13条,旧特別都市計画法14条
判旨
授益的な行政処分の撤回・変更は、処分の性質、行政上の公益的必要性、および相手方の被る不利益の程度を総合的に比較衡量して決すべきである。本件では、換地予定地の指定という暫定的な処分の性質に鑑み、事業計画変更の必要性が相手方の不利益を上回るため適法とされる。
問題の所在(論点)
授益的な行政処分である換地予定地の指定を、後の事情変更を理由に撤回(変更)することが認められるか、その判断枠組みが問題となる。
規範
行政処分が適法有効になされた後であっても、事情変更により処分の効果を存続させることが公益に適合しなくなった場合には、将来に向かってこれを撤回または変更することが許される。その適否の判断にあたっては、単に行政上の都合のみならず、①当該処分の性質・内容、②撤回等により相手方が被る不利益の程度、③維持することによる公益上の支障等を総合的に考慮して決すべきである。
重要事実
特別都市計画法に基づく土地区画整理事業において、上告人は特定の土地を換地予定地として指定されていた。しかし、閣議決定により事業費が大幅に削減されたため、事業主体は建物移転費用を節減すべく、現地換地方式への切り替えを含む事業計画の変更(本件変更処分)を行い、上告人の換地予定地を当初の指定から除外した。上告人は、当該土地への建物建設計画が不可能になり、資金準備が無駄になったとして処分の取消しを求めた。
事件番号: 昭和36(オ)1183 / 裁判年月日: 昭和37年12月14日 / 結論: 棄却
私人に権利を設定しまたは義務を免除する行政処分は、その成立に瑕疵があつても、処分庁において職権でこれを取り消し、変更し得るには、当該処分を取り消し、変更することの公益上の必要性が、処分関係人をしてその取消・変更による不利益を受忍させるに足るほど緊要なものであることを必要とする。
あてはめ
①処分の性質について、換地予定地の指定は換地処分までの暫定的な措置にすぎず、確定的な権利を付与するものではない。②行政上の公益性について、予算削減に伴う事業早期完成のために換地方法を変更する必要性は高い。③不利益の程度について、上告人は建物計画の頓挫という損害を被るが、未だ現実に土地を使用収益していたわけではなく、また生活の本拠である従前の土地については減歩なく現地換地を受けており、不利益は限定的である。以上を総合考慮すると、本件変更処分は公益に適合し適法といえる。
結論
本件変更処分は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
適法な授益的処分の撤回(事情変更による撤回)の可否に関するリーディングケース。答案では、明文規定がない場合でも「撤回権」が認められることの根拠として示し、あてはめ段階で「公益的必要性」と「既得権(信頼)保護」の比較衡量を行う際の枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和34(オ)392 / 裁判年月日: 昭和36年12月12日 / 結論: 棄却
仮換地の指定にあたつてなさるべき従前の宅地との照応考慮は、原則として、土地区画整理事業開始の時における状況を基準としてなすべきである。
事件番号: 昭和32(オ)920 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業において、仮換地の指定変更を行うことは、使用収益関係の特定や事業の円滑な進行という公益上の必要性に基づくものであれば、私益の制限が受忍限度を超えない限り行政権の濫用には当たらない。同一人に対する仮換地を必ずしも一箇所にまとめる必要はなく、変更前後で実質的な不利益に差がない場合は適法…
事件番号: 昭和41(行ツ)77 / 裁判年月日: 昭和48年2月2日 / 結論: 破棄自判
土地区画整理法一〇三条による換地処分がなされたときは、右処分における従前の宅地についてなされた仮換地指定処分の取消を求める訴の利益は失われる。
事件番号: 昭和53(行ツ)169 / 裁判年月日: 昭和55年7月10日 / 結論: 棄却
土地区画整理組合が、原則として公簿地積を基準地積とし例外的に実測地積による方法で土地区画整理事業を施行する場合において、定款には地積決定の方法に関する原則的な基準のみを定め、例外的な措置については定款の委任により執行機関の制定する執行細則等における定めに委ねることも許される。