土地区画整理法一〇三条による換地処分がなされたときは、右処分における従前の宅地についてなされた仮換地指定処分の取消を求める訴の利益は失われる。
土地区画整理法一〇三条による換地処分がなされたのちにおける仮換地指定処分取消訴訟の利益
土地区画整理法98条,土地区画整理法103条,行政事件訴訟法9条
判旨
土地区画整理事業において、換地処分の公告がなされた後は、仮換地指定処分の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業において、仮換地指定処分の取消訴訟の継続中に換地処分がなされ、その公告が行われた場合、当該仮換地指定処分の取消しを求める法律上の利益(行政事件訴訟法9条1項)は失われるか。
規範
行政処分の取消しを求める訴えについて、処分の効果が消滅したこと等により、その取消しによって回復すべき法律上の利益が失われた場合には、訴えの利益が認められず、当該訴えは不適法となる。
重要事実
1. 被上告人は、上告人が昭和38年1月30日付で行った仮換地指定処分の取消しを求めて提訴した。2. 訴訟継続中の昭和41年9月14日、上告人は土地区画整理法103条に基づき、本件従前の宅地に対して換地処分を行い、同日付でその公告をした。
事件番号: 昭和32(オ)920 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業において、仮換地の指定変更を行うことは、使用収益関係の特定や事業の円滑な進行という公益上の必要性に基づくものであれば、私益の制限が受忍限度を超えない限り行政権の濫用には当たらない。同一人に対する仮換地を必ずしも一箇所にまとめる必要はなく、変更前後で実質的な不利益に差がない場合は適法…
あてはめ
1. 換地処分の公告が行われると、土地区画整理法に基づき換地計画において定められた換地が従前の宅地とみなされ、権利関係が確定する。2. 本件において、昭和41年9月14日に換地処分の公告がなされたことにより、被上告人はもはや当該仮換地指定処分に基づいて本件仮換地を使用収益する地位にはない。3. したがって、仮換地指定処分の効力を争う前提が失われており、その取消しを求める法律上の利益は消滅したといえる。
結論
換地処分の公告後は、仮換地指定処分の取消しを求める訴えの利益は失われるため、当該訴えは却下されるべきである。
実務上の射程
換地処分後の仮換地指定処分の争訟可能性を否定したリーディングケースである。事後的な救済としては、換地処分そのものの取消訴訟を検討すべきであるが、換地処分後は事情判決(行訴法31条)の適用可能性が高まる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和42(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和47年12月8日 / 結論: 棄却
旧特別都市計画法に基づき換地予定地が指定されたのちにおいても、区画整理事業の規模の大幅縮減に伴い、同土地を換地予定地から除外する必要を生じ、指定の相手方もいまだ現実に同土地の使用収益を行なつていないなど判示のような事情があるときは、区画整理事業施行者は、同土地につき換地予定地の指定を取り消す旨の変更指定処分をすることが…
事件番号: 昭和42(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和43年10月29日 / 結論: 棄却
土地区画整理事業による建物移転の直接施行が完了したときは、当該建物の移転通知を争う訴えの利益は失われる。 (参照) 神戸地方昭和四〇年(行ウ)第一八号、昭和四〇年(行ウ)第二〇号昭和四〇年一二月二日判決、行裁集第一六巻一二号二〇二七頁〔一三七〕 大阪高等昭和四一年(行コ)第二号昭和四一年一一月二九日判決、行裁集一七巻一…