土地区画整理法に基づく換地処分を地方自治法二四二条の二所定のいわゆる住民訴訟の対象とすることは、許されない。
土地区画整理法に基づく換地処分と地方自治法二四二条の二所定の訴訟
地方自治法242条の2,土地区画整理法103条
判旨
住民訴訟(地方自治法242条の2)の対象は、同法242条1項に規定される地方公共団体の執行機関または職員による財務会計上の違法な行為または怠る事実に限定される。土地区画整理事業の施行者としてなされた行為であっても、財務会計上の行為に該当しないものは住民訴訟の対象とならない。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業の施行者としてなされた各行為の取消しを求める訴えが、地方自治法242条の2所定の住民訴訟の対象に含まれるか。すなわち、財務会計上の行為でない行政行為を住民訴訟で争うことの可否が問題となる。
規範
地方自治法242条の2に基づく住民訴訟の対象は、同法242条1項が規定する「普通地方公共団体の執行機関若しくは職員による財務会計上の違法な行為又は怠る事実」に限定される。したがって、財務会計上の行為に該当しない一般的な行政処分等は、住民訴訟の定型に該当しない。
重要事実
上告人(住民)らは、被上告人(地方公共団体)が広島平和記念都市建設事業東部復興土地区画整理事業の施行者として行った各行為の取消しを求め、地方自治法242条の2に基づき住民訴訟を提起した。原審は、当該行為が住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に該当しないとして、訴えを不適法と判断したため、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 昭和41(行ツ)77 / 裁判年月日: 昭和48年2月2日 / 結論: 破棄自判
土地区画整理法一〇三条による換地処分がなされたときは、右処分における従前の宅地についてなされた仮換地指定処分の取消を求める訴の利益は失われる。
あてはめ
住民訴訟は、地方公共団体の財務の適正を確保することを目的とする制度である。本件において上告人が取り消しを求めた行為は、被上告人が土地区画整理事業の施行者として行ったものであるが、これらは地方自治法242条1項が限定的に列挙する「財務会計上の行為」(公金の支出、契約の締結、財産の管理等)そのものとは認められない。住民訴訟の対象は、財務会計上の行為に限定されるべきであり、本件のような土地区画整理事業上の諸行為は、住民訴訟の定型には該当しないと解される。
結論
本件訴えは、住民訴訟の対象となる財務会計上の違法な行為を対象とするものではないため、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
住民訴訟の対象が「財務会計上の行為」に限定されることを明示した基本判例である。行政処分の違法を争う場合は、原則として住民訴訟ではなく抗告訴訟(取消訴訟等)によるべきであり、答案作成上は、問題となっている行為が財務会計上の行為(またはそれに密接に関連する行為)に該当するかをまず検討する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和29(オ)194 / 裁判年月日: 昭和31年7月20日 / 結論: 破棄差戻
換地予定地指定の通知を受けた土地所有者は、従前の土地について賃借権を有する者として第三者に対してなされた換地予定地指定の通知の取消を求める法律上の利益を有する。
事件番号: 昭和32(オ)920 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業において、仮換地の指定変更を行うことは、使用収益関係の特定や事業の円滑な進行という公益上の必要性に基づくものであれば、私益の制限が受忍限度を超えない限り行政権の濫用には当たらない。同一人に対する仮換地を必ずしも一箇所にまとめる必要はなく、変更前後で実質的な不利益に差がない場合は適法…
事件番号: 昭和33(オ)952 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業の承継において、承継後の施行者が既になされた換地予定地の指定を前提に修正を加えることは適法であり、また、個別の地上建物の利用価値減少等の事情は減歩率の決定を左右しない。 第1 事案の概要:鳥取市が都市計画事業として施行していた旧駅前土地区画整理事業において、昭和16年に上告人所有地…