判旨
土地区画整理事業の承継において、承継後の施行者が既になされた換地予定地の指定を前提に修正を加えることは適法であり、また、個別の地上建物の利用価値減少等の事情は減歩率の決定を左右しない。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業が承継された場合に先行する手続を更新する必要があるか、また、個別の受益や建物利用価値の減少といった事情が減歩率の決定に影響を与えるか。
規範
土地区画整理における各地区の減歩率は、整理前の土地総地積(又は評価額)と公共用地・替費地の合計地積(又は評価額)との比率により決定される。特定地区内の各所有者が事業費を負担し、それに応じて個別に減歩率を決定すべき理由はない。また、区画整理による地上建物の利用価値減少や移転費用の発生は、損失補償の問題を生じさせ得るとしても、減歩率の決定に影響を及ぼすものではない。
重要事実
鳥取市が都市計画事業として施行していた旧駅前土地区画整理事業において、昭和16年に上告人所有地を含む換地予定地の指定がなされた。その後、鳥取地震や開戦により事業が停滞したため、昭和27年に建設大臣の命令により鳥取県が当該事業を承継し、火災復興土地区画整理事業と併せて施行することとなった。鳥取県は市が行った指定を前提としつつ、地積を増歩させるなどの修正を加えた換地予定地の指定を行ったが、上告人は減歩率の決定方法や手続の不更新、建物利用価値の減少等を理由にその違法を主張した。
あてはめ
まず、事業承継の趣旨は先行手続の追完及び必要な調整にあるため、市が行った換地予定地指定等の既成の手続を全て更新する必要はない。本件では、既に指定がなされ権利関係に一応の変動が生じていたところ、県はこれを前提に上告人に有利な修正(増歩)を加えており、手続上の違法はない。次に、減歩率は地区全体の土地構成比率等で決まるものであり、個々の所有者ごとに負担額に応じた減歩率を算定すべきではない。さらに、建物の利用価値減少等は損失補償の問題であり、土地の宅地利用増進を目的とする減歩率の決定を左右する事情とはならない。
結論
事業承継前の換地予定地指定を前提とした修正処分は適法であり、個別の建物利用価値等の事情を考慮せずに決定された減歩率も違法ではない。上告棄却。
事件番号: 昭和32(オ)920 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業において、仮換地の指定変更を行うことは、使用収益関係の特定や事業の円滑な進行という公益上の必要性に基づくものであれば、私益の制限が受忍限度を超えない限り行政権の濫用には当たらない。同一人に対する仮換地を必ずしも一箇所にまとめる必要はなく、変更前後で実質的な不利益に差がない場合は適法…
実務上の射程
土地区画整理における「減歩」の法的性質を明らかにする。減歩率は地区全体の客観的な土地利用状況(公共用地等の確保)に基づいて決定されるべきであり、個別の地上建物の状況や個別の受益度合いを直接反映させる必要がないことを示す。また、事業主体の変更に伴う手続の承継の合理性を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和32(オ)328 / 裁判年月日: 昭和33年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業における換地予定地の指定処分について、従前の土地と比較して位置や利用価値等が著しく劣等でなく、かつ特定の者に不利益を強いるものでない限り、当該処分は適法である。 第1 事案の概要:上告人は、土地区画整理事業に伴う換地予定地の指定処分を受けたが、当該換地予定地が従前の土地と比較して位…
事件番号: 昭和31(オ)806 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
特別都市計画法にいよる換地予定地指定の取消を求める訴は、本換地のなされるまで何時でも提起できる合のではなく、行政事件訴訟特例法第五条の制約を受けるものと解すべきである。
事件番号: 昭和38(オ)1000 / 裁判年月日: 昭和40年3月2日 / 結論: 棄却
従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨の土地区画整理施行規程の規定に基づき、土地台帳の地積によつてした換地予定地指定処分は、憲法第二九条に違反しない。