土地区画整理組合が、原則として公簿地積を基準地積とし例外的に実測地積による方法で土地区画整理事業を施行する場合において、定款には地積決定の方法に関する原則的な基準のみを定め、例外的な措置については定款の委任により執行機関の制定する執行細則等における定めに委ねることも許される。
土地区画整理組合による土地区画整理事業における地積の決定の方法の定めと組合の執行細則等への委任
土地区画整理法15条11号,土地区画整理法施行令1条1項2号
判旨
土地区画整理事業において、原則として公簿地積を基準地積とする方法は、実測によることが困難な特段の事情があり、かつ例外的に実測による途が開かれていれば、憲法29条に違反しない。また、その例外措置の詳細については、定款の委任に基づき執行細則等に委ねることも許容される。
問題の所在(論点)
1. 公簿地積を基準として仮換地指定を行うことが憲法29条(財産権)に違反するか。 2. 地積決定に関する例外的な措置の細目を、定款そのものではなく、定款の委任に基づく執行細則に委ねることは許されるか。
規範
1. 土地区画整理において、事業の緊急性や施行区域の広範性等の理由により実測が困難な場合、原則として公簿地積により基準地積を定めることも、希望者に実測の途が開かれていれば憲法29条に違反しない。 2. 土地区画整理組合が施行する場合、地積決定の方法は定款に記載すべき事項(土地区画整理法15条11号等)であるが、定款には原則的基準のみを記載し、例外的な実測措置の詳細については定款の委任に基づき執行機関が制定する執行細則等に委ねることも許される。
重要事実
土地区画整理組合である被上告人は、事業の性質上、公簿地積を基準地積として事業を実施せざるを得ず、定款42条に従前地の地積を土地登記簿地積による旨を定めていた。一方で、定款54条に基づき理事が制定した「換地設計基準」という執行細則において、例外的に実測地積による場合とその方法を規定し、これを総会に報告していた。上告人は、公簿地積を基準とした仮換地指定の違法性や、例外規定が定款自体に記載されていないことの違法を主張した。
あてはめ
1. 本件事業は広範囲であり、実測には莫大な費用と労力を要し計画を著しく渋滞させる事情があるため、公簿基準を採用することには正当な理由がある。また、執行細則により実測の途が確保されている以上、憲法29条に違反しない。 2. 土地区画整理法が定める定款記載事項であっても、すべての詳細を記載する必要はなく、本件のように定款42条で原則を示し、同54条の授権に基づき理事が換地設計基準(執行細則)で例外を定める運用は、適法な委任の範囲内といえる。
結論
公簿地積を基準とする仮換地指定は、実測の例外措置が執行細則で担保されている限り、定款記載の態様を含め適法である。
実務上の射程
土地区画整理事業における基準地積の算定手法(公簿・実測)の選択と、定款への記載程度の限界を示した。答案上は、財産権の侵害の有無や、組合の定款自治と法の委任の範囲が問題となる場面で活用できる。
事件番号: 昭和42(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和47年12月8日 / 結論: 棄却
旧特別都市計画法に基づき換地予定地が指定されたのちにおいても、区画整理事業の規模の大幅縮減に伴い、同土地を換地予定地から除外する必要を生じ、指定の相手方もいまだ現実に同土地の使用収益を行なつていないなど判示のような事情があるときは、区画整理事業施行者は、同土地につき換地予定地の指定を取り消す旨の変更指定処分をすることが…
事件番号: 昭和34(オ)513 / 裁判年月日: 昭和35年5月19日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和38(オ)1000 / 裁判年月日: 昭和40年3月2日 / 結論: 棄却
従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨の土地区画整理施行規程の規定に基づき、土地台帳の地積によつてした換地予定地指定処分は、憲法第二九条に違反しない。