一 裁判所法第一〇条第一号最高裁判所裁判事務処理規則第九条第三頃によつて最高裁判所大法廷が同条第二項にあたる論旨の一部のみについて審理し、論旨は理由がないとするときの判決主文は「本上告論旨は理由がない」とすべきである。 二 土地区画整理施行規程で従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨を規定し右地積によつて換地予定地の指定をしても憲法第二九条に違反しない。
一 裁判所法第一〇条第一号最高裁判所裁判事務処理規則第九条第三項によつて最高裁判所大法廷が同条第二項にあたる点のみについて審理裁判した場合の判決主文 二 土地区画整理施行規程に基き土地台帳地積によつてした換地予定地指定処分と憲法第二九条
裁判所法10条,最高裁判所裁判事務処理規則9条,民訴法191条,都市計画法12条2項(昭和29年5月法律120号による改正前),耕地整理法30条,耕地整理法31条,都市計画法施行令17条(昭和30年3月政令47号による削除前),鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程3条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程5条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程14条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程15条,憲法29条
判旨
土地区画整理事業における換地予定地の指定や道路等のための減歩は、最終的な本換地処分において実測地積等に基づき清算金等による調整が行われる以上、憲法29条に違反しない。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業における換地予定地指定処分等が、実測地積に基づかない地積算定や減歩を伴う場合に、憲法29条(財産権の保障と正当な補償)に違反するか。
規範
土地区画整理に伴う土地の提供や地積の差異については、その過程において一応の基準(土地台帳地積等)が用いられるとしても、最終的な換地処分において実際の土地の価値に相当する代償(換地または清算金)が交付される仕組みが担保されているのであれば、財産権の無償の剥奪には当たらず、憲法29条に違反しない。
重要事実
鳥取火災復興土地区画整理事業において、施行規程に基づき従前の地積を「土地台帳地積」によると定めたため、実測地積との間に差が生じた。また、事業設計により道路・公園用地等として換地の割当が減歩された。これに対し、上告人は、実測地積との差積や減歩分が無償で取り上げられることになり、憲法29条に違反し当該処分等は無効であると主張して争った。
あてはめ
本件施行規程は、換地予定地の指定を土地台帳地積に基づき一応行うが、更に行われる本換地処分において、従前の土地の客観的価値と換地の評価額を比較し、過不足があるときは金銭で清算することを定めている(都市計画法12条2項、耕地整理法30条・31条)。また、減歩地積に対しても同様の根拠に基づき実際の価値に相当する代償が交付される仕組みとなっている。したがって、台帳地積と実測地積の差や減歩分が「無償で取り上げられる」ことにはならないと解される。
結論
本件施行規程及び換地予定地指定処分は、最終的に適切な代償が与えられる仕組みを前提としているため、憲法29条に違反せず、有効である。
実務上の射程
公共事業に伴う財産権の制限において、手続の便宜上、初期段階で公簿価格等が利用されても、最終的な清算プロセスで客観的価値に応じた補填が予定されていれば合憲とされる判断枠組みを示している。損失補償の「正当な補償」の要否を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和60(行ツ)116 / 裁判年月日: 昭和62年2月26日 / 結論: 棄却
従前の地積は土地台帳の地積による旨の土地区画整理事業施行規程の規定に基づき、土地台帳の地積によつてした換地処分であつても、特に希望する者には実測地積により得る途が開かれているときは、憲法二九条に違反しない。
事件番号: 昭和53(行ツ)169 / 裁判年月日: 昭和55年7月10日 / 結論: 棄却
土地区画整理組合が、原則として公簿地積を基準地積とし例外的に実測地積による方法で土地区画整理事業を施行する場合において、定款には地積決定の方法に関する原則的な基準のみを定め、例外的な措置については定款の委任により執行機関の制定する執行細則等における定めに委ねることも許される。
事件番号: 昭和38(オ)1000 / 裁判年月日: 昭和40年3月2日 / 結論: 棄却
従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨の土地区画整理施行規程の規定に基づき、土地台帳の地積によつてした換地予定地指定処分は、憲法第二九条に違反しない。