土地区画整理施行規程を変更しなければならないような事項が含まれている申立であつても、右申立が都市計画法施行令第一七条(昭和三〇年三月政令第四七号による削除前)による異議の申立であるか単なる陳情書であるかは、申立人の真意に従つて判断すべきである。
土地区画整理施行規程を変更しなければできないような事項が含まれている申立書と、都市計画法施行令第一七条(昭和三〇年三月政令第四七号による削除前)による異議の申立
都市計画法施行令17条(昭和30年3月政令47号による削除前)
判旨
行政手続における異議申立て等の法的性格は、提出された書類の客観的文言のみならず、当事者の真意や経緯に基づく意思解釈によって決せられる。一度提出された異議申立書であっても、その後の訂正により異議の趣旨が失われた場合は、単なる陳情として扱っても違法ではない。
問題の所在(論点)
当初は施行規程に対する異議申立ての形式を備えていた書面が、行政側の働きかけによる訂正の結果、単なる陳情とみなされる場合に、都市計画審議会への附議を欠くことは手続上違法となるか。また、異議申立ての撤回に民訴法の規定が類推適用されるか。
規範
提出された申出が法令に基づく異議申立てであるか、あるいは単なる陳情であるかは、当事者の意思解釈の問題である。客観的文言に施行規程の変更を要する事項が含まれていても、直ちに異議申立てと解すべきではなく、申出の経緯や当事者の主観的意図を総合して判断する。また、異議申立てには民事訴訟法の取下げに関する規定の類推適用はない。
重要事実
鳥取火災後の土地区画整理事業において、土地所有者D及びEが施行規程に対する異議申立書を提出した。しかし、市長側の依頼を受けた市吏員が両名に面接して真意を確認したところ、両名は事業の迅速な進行を望んでおり、換地に関する個人的な陳情の趣旨を強調するために施行規程の変更という文言を用いたに過ぎないことを認めた。両名は喜んで文言の訂正を承諾し、その結果、書類は単なる陳情書の体裁となったが、後にこの手続的瑕疵が争われた。
あてはめ
D等の当初の書面には施行規程変更の文言があったが、当事者の主観的意図は迅速な事業進行を願うものであり、異議申立ての意思はなかったといえる。市長の依頼に応じた文言訂正は、当事者が真意に基づいて任意に承諾したものであり、訂正後の書面は施行規程に対する異議としての趣旨を喪失していると解される。したがって、これを陳情として扱い、審議会に附議しなかった判断に違法はない。また、異議申立ては民事訴訟とは性質を異にするため、厳格な取下げ手続を要しない。
結論
行政手続上の申出の性質は当事者の真意に基づき解釈されるべきであり、本件では訂正により異議申立てとしての効力が失われているため、手続的瑕疵は認められない。
実務上の射程
行政庁に対する不服申立てと単なる陳情の区別について、書面の形式のみならず、行政指導等を通じた当事者の真意の探求を認める基準として活用できる。特に、法定の手続(審議会附議等)の要否を判断する際の意思解釈の枠組みとして重要である。
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