判旨
複数の消費貸借債務の元金と謝礼金を合算して新たな消費貸借契約とする更改がなされた場合、その新債務に基づく遅延損害金の約定が旧利息制限法5条(現行法4条)の制限を超えるものでない限り、有効として認められる。
問題の所在(論点)
数個の債務を一本化して新たな消費貸借とする更改がなされた場合において、その新債務に基づく遅延損害金の約定は、旧利息制限法5条(現行法4条)の制限に照らし有効か。
規範
複数の既存債務を一本化する更改契約が締結された場合、特段の事情がない限り、新たな消費貸借契約としての効力が認められる。また、当該新債務に対して約定された遅延損害金については、利息制限法所定の制限額を超えない限りにおいて、適法かつ有効な公序良俗に反しない合意として取り扱うべきである。
重要事実
上告人は、昭和27年6月22日時点で未払であった元来の消費貸借元金3口(合計5万6000円)と謝礼金4000円を合わせ、合計6万円を目的とする1個の消費貸借契約とする合意(更改)を成立させた。本件請求は、この更改後の新債務に基づくものである。この際、当該新債務に対し日歩20銭(年約73%)の遅延損害金の約定が付されていたため、その有効性が争点となった。
あてはめ
本件では、元金と謝礼金を合計して6万円とする新たな消費貸借契約が成立している。この新債務に対して約定された「日歩20銭」という遅延損害金は、当時の経済状況や旧利息制限法5条の規定に照らしても、当然に減額や無効の対象となるほど過度なものとはいえない(消極に解すべきである)。したがって、更改前の個別の入金が利息に充当されていたとしても、更改後の請求原因に直接の影響を及ぼすものではない。
結論
本件の遅延損害金の請求を認容した原審の判断は相当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
更改によって旧債務を消滅させ新債務を成立させた場合、特段の事情がない限り、旧債務の利息充当等の問題は新債務に引き継がれないとする判断を示している。ただし、現代の利息制限法・出資法下では、超過利息の元本充当や公序良俗違反の観点から、形式的な更改による制限回避はより厳格に判断される点に注意が必要である。
事件番号: 昭和28(オ)963 / 裁判年月日: 昭和30年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭貸借において、旧利息制限法の制限を超える遅延損害金の約定であっても、営業資金の貸付けであり、かつ公序良俗に反すると認められる特段の事情がない限り、民法90条に違反して無効とはならない。 第1 事案の概要:被上告人(債権者)は、上告人A1(債務者)に対し、昭和24年6月13日に10万円を貸し付け…