判旨
嫡出子否認の訴えにおいて、出訴期間を経過した後に提訴がなされたという瑕疵がある場合であっても、その事実のみをもって確定判決が当然に無効となることはない。
問題の所在(論点)
嫡出子否認の訴えにおいて、出訴期間(民法旧777条)を経過して提起されたという瑕疵がある場合に、その確定判決は当然に無効となるか。
規範
確定判決は、たとえ訴訟要件や出訴期間等の瑕疵を含んでいたとしても、当然に無効となるものではない。判決の無効が認められるのは、極めて例外的な場合に限られる。
重要事実
上告人は、本件の嫡出子否認の訴えが当時の民法が定める1年の出訴期間を経過した後に提起されたものであると主張し、その確定判決が無効であると論じた。しかし、この出訴期間経過の事実は原審(控訴審)では主張されておらず、上告審において初めて主張されたものである。
あてはめ
本件において、上告人が主張する出訴期間経過の事実は原審で認定されていない。仮に所論のような事実、すなわち出訴期間経過後の提訴という瑕疵があったとしても、確定判決の法的安定性の観点から、その瑕疵は判決の当然無効事由には当たらないと解される。したがって、判決の効力を否定することはできない。
結論
出訴期間を経過してなされた嫡出子否認の訴えの判決であっても、当然に無効とはならない。
実務上の射程
判決の無効事由の限定性を示す。出訴期間の不遵守という実体法上の瑕疵や訴訟要件の欠缺があっても、特段の事情がない限り、既判力や形成力を否定する「判決の無効」は認められないという答案作成上の論理として活用できる。
事件番号: 昭和43(オ)1310 / 裁判年月日: 昭和44年9月4日 / 結論: 棄却
離婚による婚姻解消後三〇〇日以内に出生した子であつても、母とその夫とが、離婚の届出に先だち約二年以前から事実上の協議離婚をして別居し、夫婦の実態が失われていた場合には、民法七七二条による嫡出の推定を受けないものと解すべきである。