判旨
特別抗告状において、抗告理由として再抗告状の記載を引用することは許されず、そのような記載のみによる抗告は不適法として却下される。
問題の所在(論点)
民事訴訟における特別抗告(現行民事訴訟法336条等)の手続において、特別抗告状に抗告理由を自ら記載せず、他の書面(再抗告状)を引用することで理由の記載に代えることができるか。
規範
上訴提起における上訴理由の記載は、当該上訴手続において作成される書面自体に具体的に記載されるべきであり、他の書面の記載を引用する方法によることは、手続の明確性および完結性の観点から許されない。
重要事実
抗告人らが特別抗告を提起するに際し、提出した特別抗告状には、抗告理由として別途提出していた再抗告状の記載を引用する旨のみが記載されていた。
あてはめ
本件抗告人は、特別抗告状において抗告理由を自ら詳述せず、単に再抗告状の記載を引用するにとどめている。このような引用による記載方法は、裁判所が判断すべき不服の対象や理由を当該書面のみで特定することを困難にするものであり、適法な理由の提示とはいえない。
結論
抗告理由の引用は許されないため、本件特別抗告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
本判決は、上訴理由書等の書面作成における「引用」の禁止を明確にしたものである。実務上、準備書面等では前書面の引用が許容される場合もあるが、上訴理由のような厳格な法定書面においては、書面独自の完結性が求められる点に注意が必要である。答案上は、手続的要件の遵守が不服申立ての適法性に直結する例として参照すべきである。
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