判旨
最高裁判所に対する抗告は、民訴法419条の2(現行330条等に対応)に定められた憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、単なる手続規定の違反を憲法違反と称して主張することは適法な抗告理由とならない。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告において、実質的に手続規定の違反を争う内容を「憲法違反」と称して主張することが、適法な抗告理由として認められるか。また、最高裁判所の抗告裁判権の範囲が問題となる。
規範
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限定される。その理由は、原決定において憲法適合性に関する判断が含まれ、かつその判断を不当とするものでなければならない。単なる法律違反の主張を憲法違反の名を借りて行うことは、適法な抗告理由にあたらない。
重要事実
抗告人は、原決定が憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その主張の実質は、原決定における訴訟手続上の規定の解釈や適用に関する不服を述べるものであった。
あてはめ
最高裁判所への抗告が許容されるのは、法(当時の民訴法419条の2)が定める憲法違反の問題が存在する場合のみである。本件抗告人は憲法32条違反を主張するが、その内容は原決定の手続規定に関する判断を非難するにすぎない。これは実質において単なる法令違反の主張であり、「憲法違反」という名称を借りているにすぎず、憲法判断を不当とする適法な理由とは認められない。
結論
本件抗告は適法な抗告理由を欠く不適法なものとして、却下を免れない。
実務上の射程
特別抗告や許可抗告の場面において、単なる事実誤認や法令違反を「憲法違反」と強弁しても、最高裁の門前で不適法却下されるという実務上の峻別を示す射程を持つ。答案上は、不服申立の適格性や上告・抗告理由の具備を検討する際の判断基準として引用できる。
事件番号: 昭和27(ク)277 / 裁判年月日: 昭和28年1月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、それ以外の理由による抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、ある民事事件に関して最高裁判所に対し抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の中身は、原決定において法律、命令、規則又は…
事件番号: 昭和33(ク)211 / 裁判年月日: 昭和33年9月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法により特別に認められた場合に限られ、憲法違反の主張があっても具体的理由の示唆がない場合は不適法となる。 第1 事案の概要:抗告人は、本件抗告において憲法違反を主張して抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の中では、具体的にどのような事由が…
事件番号: 昭和25(ク)108 / 裁判年月日: 昭和25年10月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に最高裁判所への抗告を許容した場合に限定される。民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とする場合に限り、適法な抗告理由となる。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人は民事訴訟法上の規…
事件番号: 昭和26(ク)23 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に認める場合に限定され、民事事件においては憲法解釈の不当を理由とする場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた。当該抗告の理由は、原決定における憲法適合性の判断を不当とするものではなく、単なる法律違反等を主張するものであった。…
事件番号: 昭和25(ク)148 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は憲法適合性に関する判断の不当をいうものに限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた事案である。しかし、当該抗告理由の内容は、原決定における憲法適合…