判旨
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法により特別に認められた場合に限られ、憲法違反の主張があっても具体的理由の示唆がない場合は不適法となる。
問題の所在(論点)
具体的理由を摘示せずに「憲法違反」とのみ主張する抗告が、最高裁判所に対する適法な抗告として認められるか。換言すれば、形式的に憲法違反を主張するだけで旧民訴法419条ノ2の抗告としての要件を満たすかが問題となる。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることが許された場合に限定される。民事事件においては、旧民事訴訟法419条ノ2(現行民事訴訟法336条に相当)に規定される特別抗告、すなわち憲法違反を理由とする抗告のみがこれに該当する。
重要事実
抗告人は、本件抗告において憲法違反を主張して抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の中では、具体的にどのような事由が憲法に違反するのかについて、何らその内容を示していなかった。
あてはめ
最高裁判所の裁判権は、法が特に認めた場合に限定されるところ、民事事件の抗告は憲法違反を実質的な理由とする必要がある。本件において抗告人は憲法違反をいうが、その具体的な事由を全く示していない。このような抽象的な主張は、実質的に旧民訴法419条ノ2(特別抗告)の定めた場合に当たらないと評価せざるを得ない。
結論
本件抗告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
特別抗告の要件に係る判例であり、単に「憲法違反」という語句を用いるだけでは足りず、具体的な憲法違反の事実を摘示しなければ最高裁判所の裁判権が及ばないことを示す。答案上は、特別抗告の適法性を論じる際の理由不備・不適法の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(ク)277 / 裁判年月日: 昭和28年1月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、それ以外の理由による抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、ある民事事件に関して最高裁判所に対し抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の中身は、原決定において法律、命令、規則又は…
事件番号: 昭和28(ク)145 / 裁判年月日: 昭和28年6月25日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民訴法419条の2(現行330条等に対応)に定められた憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、単なる手続規定の違反を憲法違反と称して主張することは適法な抗告理由とならない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定が憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して最高裁判所に抗…
事件番号: 昭和26(ク)23 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に認める場合に限定され、民事事件においては憲法解釈の不当を理由とする場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた。当該抗告の理由は、原決定における憲法適合性の判断を不当とするものではなく、単なる法律違反等を主張するものであった。…
事件番号: 昭和33(ク)284 / 裁判年月日: 昭和33年10月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を持つのは、訴訟法において特別に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)所定の憲法違反の主張がなされていない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人は、原…
事件番号: 昭和29(ク)81 / 裁判年月日: 昭和29年4月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】特別抗告状において、抗告理由として再抗告状の記載を引用することは許されず、そのような記載のみによる抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人らが特別抗告を提起するに際し、提出した特別抗告状には、抗告理由として別途提出していた再抗告状の記載を引用する旨のみが記載されていた。 第2 問題…