判旨
高等裁判所の決定に対する抗告状が、本来提出すべき原裁判所ではなく最高裁判所に直接提出された場合、当該抗告状の提出は不適法であるが、裁判所は移送の決定をもってこれを正当な管轄裁判所に送付すべきである。
問題の所在(論点)
高等裁判所の決定に対する抗告状を、原裁判所ではなく直接最高裁判所に提出した行為の適否、およびその場合の最高裁判所による処置が問題となる。
規範
上告(抗告)の提起は、法律上の定めにより原裁判所に提出すべきものとされており、これに反して直接上級裁判所に提出された場合は、裁判所法及び民事訴訟法の規定に基づき、適法な手続を確保するため移送の措置を講じるべきである。
重要事実
抗告人らは、東京高等裁判所がなした抗告却下決定に対し、不服を申し立てるべく抗告状を作成した。しかし、抗告人らは当該抗告状を、本来の提出先である原裁判所(東京高等裁判所)ではなく、直接最高裁判所に提出した。
あてはめ
旧民事訴訟法(昭和29年当時)の各規定(419条ノ2、409条ノ2等)によれば、抗告状は原裁判所に提出すべきものである。本件抗告状は最高裁判所に直接提出されており、提出先を誤った不適法なものであるが、裁判所の職権により、本来あるべき受訴裁判所である東京高等裁判所へ本件を移送することが相当と認められる。
結論
本件抗告状の提出は手続上の瑕疵があるが、最高裁判所は本件を東京高等裁判所に移送する決定を下した。
実務上の射程
訴状や上告状の提出先を誤った場合であっても、直ちに却下するのではなく、移送によって救済を図る実務上の取扱いを示すものである。ただし、現在の民事訴訟法下では、上告提起期間等の不変期間の遵守は「原裁判所への到達」を基準とするのが原則であるため、答案上は期間徒過のリスクに留意して引用すべきである。
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