判旨
賃貸借契約の解除に伴う催告において、催告された金額が真実の延滞額を超過していても、その超過額が僅少であれば、催告の効力は妨げられない。
問題の所在(論点)
催告において、債権者が実際の債務額よりも過大な金額を請求した場合、その催告は有効といえるか。超過額が僅少な場合の解除の効力が問題となる。
規範
債務不履行に基づく契約解除のための催告(民法541条)において、催告額が実際の債務額を超過している場合であっても、その超過の程度が僅少であり、債務者が真実の額を支払うべきことを了知し得るものであれば、当該催告は有効である。
重要事実
土地の賃貸人である被上告人が、賃借人である上告人に対し、延滞賃料の支払いと不払いの場合の契約解除を通知する催告を行った。この際、催告された金額は11,533円2銭であったが、実際に上告人が当時負担していた延滞賃料額よりも560円85銭だけ過大であった。
あてはめ
本件における超過額は560円85銭であり、催告額である11,533円2銭の約4.8%にすぎない。このような程度の超過額は、債務の同一性を失わせるほど多額とはいえず、債務者にとって本来支払うべき額を準備し、履行するにあたって実質的な支障を来すものとは認められない。したがって、右の程度の超過額があっても、催告の効力自体を否定すべき事情にはあたらないと評価される。
結論
本件催告は有効であり、これに基づく賃貸借契約の解除は認められる。
実務上の射程
催告に過大請求が含まれる場合の一般論として、著しく過大でない限りは有効とする実務上の指針となる。答案上は、超過額の割合や、債務者が真実の額を支払う意思があったか等の具体的事情に照らし、信義則の観点から催告の有効性を論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)1188 / 裁判年月日: 昭和29年4月2日 / 結論: その他
一 家屋の賃借人が自発的に値上した金額に基いて、賃貸人が賃料の支払を催告し、その総額が六、〇〇〇円であり、うち四九〇円が家賃の統制額を超えていたとしても、催告全部が無効となるのではなく、正当賃料の限度で有効である。 二 甲乙丙がいずれも一家屋の不法占有者であるとしても、乙及び丙の占有部分がそれぞれ右家屋の一部に過ぎない…