判旨
不法行為等に基づく損害賠償請求において、過失相殺(民法722条2項)の主張は事実審において主張されない限り、上告審でこれを採用することはできない。
問題の所在(論点)
事実審で主張されなかった過失相殺の抗弁を、上告審において採用することができるか。
規範
過失相殺(民法722条2項、418条等)を適用するためには、事実審における主張立証が必要であり、それがない限り裁判所はこれを考慮すべき義務を負わない。
重要事実
上告人(被告)は、被上告人(原告)の損害が被上告人の過失に基づくと主張し、民法722条2項の適用があるべきだと上告理由で述べた。しかし、上告人は原審(事実審)において、当該事実および法条の適用について何ら主張していなかった。
あてはめ
上告人は、原審(事実審)において被上告人の過失に関する事項を何ら主張せず、民法722条2項の適用についても主張した形跡が認められない。したがって、上告審において初めてなされたこの主張は、採用の限りではないといえる。
結論
原審において主張されなかった過失相殺の事由は、上告審において採用することはできない。よって本件上告は棄却される。
実務上の射程
損害賠償額の減額を目的とする過失相殺(またはそれに準ずる損害の衡平な分担)の主張は、抗弁として事実審で適時に提出する必要がある。事実認定を伴う以上、法律審である最高裁で初めて主張することは許されないという原則を確認したものである。
事件番号: 昭和37(オ)537 / 裁判年月日: 昭和40年12月21日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和37(オ)536 / 裁判年月日: 昭和40年12月21日 / 結論: 棄却
臨時物資需給調整法に基づく木炭需給調整規則(昭和二四年農林省令第七四号)施行当時、木炭の生産者が同規則第二条、第一四条に違反して集荷業者でない者との間に締結した木炭譲渡契約は、私法上その効力を有しないものと解すべきである。
事件番号: 昭和42(オ)1357 / 裁判年月日: 昭和43年3月28日 / 結論: 棄却
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