判旨
民法上の組合の組合員が脱退した後に組合が取引を行った場合、取引の相手方が当該組合員の脱退を熟知・承認した上で取引をしたのであれば、脱退した元組合員は当該取引に基づく債務について責任を負わない。
問題の所在(論点)
民法上の組合から脱退した組合員が、脱退後に組合が負った債務について、取引相手が脱退の事実を知っていた場合であっても責任を負うか。脱退の対抗力の有無が問題となる。
規範
民法上の組合における組合員の脱退が認められる場合、脱退後に成立した組合債務については、原則として脱退した元組合員は責任を負わない。特に、取引の相手方が当該組合員の脱退の事実を熟知し、かつこれを承認した上で取引を行った場合には、当該相手方は元組合員に対して責任を追及することはできない。
重要事実
民法上の組合である荷受組合の組合員であった被上告人が、当該組合を脱退した。その後、上告人の前主(債権者)が当該組合との間で本件取引を行ったが、その際、上告人の前主は被上告人が既に組合を脱退している事実を「熟知承認」した上で取引に及んでいた。
あてはめ
本件において、被上告人は本件取引がなされる前に組合を脱退している。また、事実認定によれば、取引の相手方(上告人の前主)は被上告人の脱退を熟知し、それを承認した上で取引を行っている。このように、相手方が脱退の事実を認識し、それを前提として取引に入った以上、脱退した元組合員に責任を負わせるべき信賴関係や法的基礎は存在しないといえる。
結論
被上告人は本件取引に基づく債務について責任を負わない。したがって、上告人の請求は認められず、上告を棄却する。
実務上の射程
組合員の脱退と第三者に対する対抗力の問題として整理される。民法680条の準用する561条等の原則に基づき、脱退後の債務には関与しないのが原則であるが、本判決は特に『相手方の悪意・承認』がある場合に免責されることを明示している。答案上は、脱退後の組合債務の帰属を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和26(オ)218 / 裁判年月日: 昭和26年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人が民事事件の判決を不服として最高裁判所に上告を提起したが、判決文からは具体的な事案の内容や下級審の判断、上告人が主張した具体的…